埼玉トークン詐欺で起訴された仮想通貨企業CEOが米国移送へ
暗号資産プロジェクトSaitama(サイタマ)を巡る大規模な価格操作および詐欺容疑で起訴されたマンプリート・コーリ(Manpreet Kohli)被告が、逃亡先の英国から米国へ移送される可能性が極めて高まったことが明らかになった。
英国裁判所が被告側の引き渡し回避請求を棄却したことで、米国ボストン連邦裁判所での本格的な審理に向けた手続きが一歩前進した形だ。かつてイーサリアム(Ethereum/ETH)基盤のトークンとして時価総額約75億ドル(約1.2兆円)規模に達したとされるSaitamaプロジェクトにおいて、CEO(最高経営責任者)を務めていたコーリ被告。米国司法省の追及によると、同被告ら幹部は投資家に対して自社トークンの継続保有や追加購入を促す一方で、裏では複数の暗号資産ウォレットを駆使して秘密裏に大量売却を繰り返していた。
さらに、米国当局が実施した大規模な捜査Operation Token Mirrors(オペレーション・トークン・ミラーズ)により、人為的に取引高を膨らませるウォッシュトレード=仮装売買を外部業者へ依頼していた実態も判明している。
取引市場における需要を偽装することで価格を不正に吊り上げ、同被告単独で約2,000万ドル(約31.8億円規模)もの巨額な利益を得ていたとされている。この件に関連し、価格操作を請け負ったGotbit社とその創業者はすでに有罪判決や巨額の没収命令を受けている。
人権保護を理由とした異議申し立てと裁判所の判断
英・ロンドンでの拘束後、コーリ被告は通信詐欺や無許可送金業の運営などの罪で米国から身柄引き渡しを求められていた。これに対し同被告は、米国の収監施設へ移送された場合、自身のメンタルヘルスに対する適切なケアが行われず、自傷や自殺のリスクが高まるという人権上の懸念を理由に引き渡し拒否を主張していた。
しかし、2026年8月19日(水曜日)に審理を担当したサミュエル・グージー(Sam Gedge)裁判官は、移送中および現地の収容環境において相応の安全対策が取られる見込みであり、懸念されるリスクは許容範囲まで低減できると判断。被告側の主張を全面的に退け、最終判断を英国政府(内務大臣)へと委ねた。
なお、被告側には今回の決定に対する控訴権が残されており、現在は保釈金を支払った状態で手続きが進められている。
米連邦裁判所でも起訴棄却の訴えが不発に
コーリ被告側はボストンの連邦裁判所においても、Saitamaトークンは米国の証券法に定める『証券』には該当しないため、証券関連の法規制で罪に問うことは不当であると主張し、起訴自体の棄却を求めていた。しかし、この申し立てについても今月に入り裁判所から退けられており、同被告に対する法的な包囲網は日増しに強まっている。
国際的な捜査網と法手続きの手順を経て、暗号資産市場における大規模な不正行為の責任を追及する舞台は、いよいよ米国の法廷へと移ろうとしている。
























