CoinEx、イラン関連資金38億4,000万ドルの処理疑惑で国際的調査対象に

CoinExにイラン関連資金38億4,000万ドルの処理疑惑浮上

暗号資産取引所CoinExに浮上したイラン関連資金の処理疑惑で、Bybit(バイビット)ハッキングとの複雑なつながりが判明した。

暗号資産取引所CoinExが、米国の制裁対象であるイラン関連組織との間で38億4,000万ドル(約6,206.5億円)を超える巨額のデジタル資産取引を処理していたことが、ブロックチェーン捜査当局やウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道で明らかになった。

この調査の中で、2025年に起きた大規模な暗号資産ハッキング事件の資金移動ルートと交差しているという、極めて複雑な実態が浮かび上がっている。

盗難資金とイラン中央銀行ウォレットの交差

事の発端は、ブロックチェーン分析会社TRM Labsなどが公開したデータを基に、イラン中央銀行の管理下にあるとされる2つのデジタルウォレットを追跡したことだ。

アナリストらが資金の流れをさかのぼったところ、これらのウォレットが、取引所「Bybit」から盗み出された資産と深い関わりを持っていることが判明した。Bybitは2025年、15億ドル(約2,424.3億円)規模にのぼる過去最大級のハッキング被害に遭っている。FBI(米連邦捜査局)はこのサイバー攻撃を北朝鮮のハッカー集団による犯行と断定。盗まれた資金は、分散型プロトコル「THORChain」で約30億ドル(約4,848.2億円)相当のスワップ取引(※異なる通貨同士の交換)が行われたほか、数多くのウォレットを経由して複雑にマネーロンダリング(資金洗浄)され、最終的にCoinExへ流れ着いたとみられている。

強化される米国の監視とイランの仮想通貨事情

今回の調査結果は、米国当局がイランへの金融制裁と仮想通貨エコシステムへの監視を急速に強めている最中に開示された。

米財務省は“経済危機(エコノミック・フューリー)”キャンペーンを展開し、イラン国内の仮想通貨取引量の約半分を占めるとされる、Nobitex(ノビテックス)を含む主要4取引所を制裁対象に指定。制裁対象となった個人や組織がデジタル市場へアクセスするのを防ぐ構えを見せている。また、イラン革命防衛隊と結びつきのあるトロン(Tron)ウォレットから3億4,400万USDT(テザー:Tether)を凍結するなど、これまでに約10億ドル(約1,616億円)相当のイラン関連資産を押収してきた。

一方で、法的な包囲網が敷かれる背景には、イラン国内の特殊な経済事情もある。法定通貨イラン・リアルの価値が暴落するなか、国民の間ではインフレに対する防衛策として仮想通貨が急速に普及。2025年時点のデータでは、イラン人口の約13%が何らかのデジタル資産を保有しており、その市場規模は80億ドル(約1.29兆円)から100億ドル(約1.6兆円)に達していると試算されている。

意図的な関与を否定するCoinExの主張

現時点でCoinExは米国当局から直接的な不正行為で告発されているわけではなく、新たな法的措置の対象にもなっていない。

しかし、中央集権型の取引所として、KYC(顧客認証)や取引監視システムが適切に機能していたのかというコンプライアンスへの疑念は避けられない状況だ。これに対しCoinEx側は、イラン政府機関との商業的な結びつきを全面的に否定。オンチェーン上の資金フローだけを捉えて「違法行為に加担した」と見なす論調に反論し、制裁対象者へ意図的にサービスを提供した事実は一切ないと主張した。同取引所は、すでに以下のコンプライアンス強化策を講じているとしている。

今回の報道は、分散型ネットワークを悪用した国際的な資金洗浄ルートの巧妙化を改めて浮き彫りにした。意図せぬ形であったとしても、巨額の制裁回避資金やハッキング資金の受け皿になっていた疑惑が浮上したことで、CoinExをはじめとする暗号資産取引所は、今後さらに厳しい規制当局の目にさらされることになりそうである。

 

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