創業者への詐欺告発を受け秩序ある縮小へ
2億ドル(約314.8億円)規模の仮想通貨ベンチャーキャピタルであるシマ・キャピタル(Shima Capital)は、創業者イダ・ガオ(Yida Gao)氏に対するSEC(米証券取引委員会)の告発を受け、事業を閉鎖する方針を明らかにした。
The crypto VC firm that quietly went away: Shima Capital.
3 weeks ago, the SEC filed a complaint against Shima Capital and its founder Yida Gao, alleging he "engaged in a scheme to defraud" certain investors.
Screenshots of an email Gao sent to portfolio company founders,… pic.twitter.com/9Q5xQ2g6wU
— Kate Irwin (@kateirwin) December 16, 2025
ひっそりと姿を消した暗号資産VC企業、Shima Capital。3週間前、SECはShima Capitalとその創業者Yida Gao氏に対し、特定の投資家を「欺く計画に関与した」として訴状を…
ガオ氏はマネージングディレクターを辞任し、ファンドは外部専門家の監督のもとで秩序ある縮小手続きに入る。
SECは2025年11月25日、ガオ氏が投資実績を誇張したマーケティング資料を用い、2021年から2023年にかけて投資家から約1億5,800万ドル(約248.6億円)を調達したと主張した。資料では過去の投資が90倍のリターンを生んだと説明されていたが、実際のリターンは約2.8倍にとどまっていたとされる。
SECはさらに、BitCloutトークンを巡るSPV(特別目的会社)を通じた取引でも問題があったと指摘した。ガオ氏は割引価格でトークンを取得した後、約190万ドル(約3億円)の未開示利益を得たとされ、投資家には十分な説明が行われていなかったという。
これらの件について、ガオ氏は390万ドル(約6億円)超の不当利得返還と判決前利息の支払いに同意し、将来的な違反行為を禁じる差し止め命令や役員・取締役就任禁止も受け入れた。民事罰については今後決定される。
ファンド縮小の進め方と体制
ガオ氏はポートフォリオ企業の創業者宛ての電子メールで、今回の問題は自身の個人的行為に起因するものであり、ファンドや投資先企業の活動とは切り離されると説明した。
そのうえで、FTIコンサルティングとFTIキャピタル・マネジメントが独立したアドバイザーとして縮小手続きを主導するとしている。
同氏によれば、強制的な売却は行わず、市場環境を踏まえた形で投資の収益化を進める方針だ。最高財務責任者を含む既存の財務チームは移行期間中も業務を継続し、ポートフォリオ支援には許可された範囲で関与するが、経営権は持たないとしている。
業界への影響と規制当局の姿勢
シマ・キャピタルは2021年に設立され、初期段階のブロックチェーンプロジェクトへの投資で存在感を示してきた。
BerachainやMonad、Pudgy Penguinsなどへの出資実績を持ち、著名投資家からも資金を集めていた。今回の事案は、取引所やトークン発行体に限らず、ベンチャーキャピタルの資金調達や情報開示にも厳しい目が向けられていることを示している。SECは過度な規制を見直す姿勢を示しつつも、虚偽表示や投資家欺瞞といった違法行為については引き続き厳正に対処する方針を明確にしている。
























