近年、仮想通貨詐欺の中でも特に被害が増えているのが、Approval(承認)詐欺と呼ばれる手口です。この詐欺の特徴は、被害者自身が気づかないまま資金を抜き取られる点にあります。
ウォレットを接続しただけで安心してしまい、その後、いつの間にか仮想通貨やNFTが消えている。このような相談が急増しています。
本記事では、Approval詐欺の仕組みと具体的な手口、そして被害を防ぐために重要なRevoke(承認解除)について解説します。
Approval(承認)詐欺とは?
Approval詐欺とは、ウォレット接続時に与えた「承認権限」を悪用し、後から自由に資金を移動される詐欺です。
仮想通貨やNFTを扱う多くのサービスでは、スマートコントラクトに対して「承認(Approve)」を行う必要があります。
この承認は本来、
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トークンの交換
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NFTのミント
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DeFiでのステーキング
などを行うための正規の仕組みですが、悪意あるサイトでは、この承認を無制限に要求してきます。
一度承認してしまうと、その後の送金時に署名を求められず、資金が抜かれるケースも多く、被害者が異変に気づくのが遅れがちです。
被害者が気づかないまま資金を抜かれる理由
Approval詐欺が非常に厄介なのは、直接的な送金操作をしていない点にあります。
被害の流れは次のようなものです。
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NFTミントやDeFiサイトにウォレットを接続
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表示された内容をよく確認せず承認
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その場では何も起こらない
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数時間〜数日後、ウォレット内の資産が消失
多くの被害者は、「自分は送金していない」「詐欺に遭う操作をした覚えがない」と感じます。しかし実際には、承認という形で資金移動の権限を渡してしまっているのです。
NFTミント・DeFiサイト経由が多い理由
Approval詐欺は、特に以下の場面で多発しています。
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NFTミントサイト
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新規DeFiプロジェクト
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エアドロップ請求ページ
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X(旧Twitter)やDiscordで拡散されるリンク
これらの共通点は、「今だけ」「先着」「無料」などの言葉で焦らせる点です。
NFTブームやDeFi高利回りを背景に、ユーザーは「早く操作しないと損をする」と感じ、承認内容を確認せずに進めてしまいます。
特に、承認時に表示される
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「無制限(Unlimited)」
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「全トークンへのアクセス」
といった文言を見落とすと、ウォレット内の全資産が対象になる危険性があります。
Revoke(承認解除)の重要性
Approval詐欺を防ぐ、または被害拡大を防止するために重要なのが、**Revoke(承認解除)**です。
Revokeとは、過去に与えた承認を取り消す操作のことです。
以下のような場合は、必ずRevokeを検討してください。
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使った覚えのないサイトに承認が残っている
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すでに利用しなくなったDeFiサービス
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怪しいNFTミントを試した後
承認を解除しない限り、そのコントラクトはいつでも資金を動かせる状態にあります。
被害に遭っていなくても、定期的に承認状況を確認し、不要なものは解除することが重要です。
もしApproval詐欺の可能性に気づいたら
以下のような状況があれば、早急な対応が必要です。
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ウォレット内の資産が一部だけ消えている
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取引履歴に覚えのないコントラクト操作がある
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NFTやトークンが勝手に移動している
この場合、
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新しいウォレットへ資産を退避
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怪しい承認をすべてRevoke
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トランザクション履歴を保存
を速やかに行ってください。
さらに、仮想通貨詐欺調査サービスを利用することで、どの承認が原因だったのか、資金の流れがどうなっているのかを第三者視点で調査してもらうことも可能です。
まとめ
Approval詐欺は、ウォレットを接続しただけで安心してしまう心理を突いた非常に巧妙な詐欺です。
送金操作をしていなくても、承認=資金移動の許可であることを理解していないと、被害に遭いやすくなります。
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ウォレット接続時の承認内容を必ず確認する
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NFTミントやDeFiサイトは慎重に利用する
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定期的にRevokeで承認を見直す
これらを徹底することが、被害防止につながります。
もし少しでも不安を感じた場合は、早めに専門家へ相談することが被害拡大を防ぐ最善策です。




















