バイナンス、ボット乱用を一掃し公正な取引環境を再構築

バイナンスが不正取引対策とマネーロンダリング防止(AML)強化を進める様子を象徴するデジタルイラスト

内部統制を強化し公正な取引環境の回復を図る

バイナンス(Binance)は、協調的なボット活動や不正なサードパーティ製ツールの使用など、プラットフォームの公正性を損なう行為を確認し、600を超えるユーザーアカウントを停止した

日本語訳:
ユーザーの皆様へ ユーザー保護と公正なプラットフォーム提供という当社のコミットメントに基づき、先週、自動化ツール(例:「ボットファーム」)を不正に利用してBinance Alphaを悪用した600以上のアカウントをBan…

対象はBinance Exchange、Binance Wallet、Binance Alphaにまたがり、違反内容に応じて永久資格剥奪や報酬の没収が適用される。違反の背景には、アルファポイントの分配や早期アクセスの機会を巡る不当な獲得があり、同社は取引監視と内部統制の強化に踏み切った。

内部調査でボットファームを排除し市場操作を是正する

Binance Alphaは、初期段階のWeb3プロジェクトに光を当て、ユーザーが上場前に有望なトークンを見つけられるよう設計された。

プラットフォームの取引量は今年1,150億ドル(約17.3兆円)を超え、利用が拡大する一方で、一部のユーザーがボットを用いてアルファポイントを大量に獲得し、トークンセールやエアドロップの優先枠を独占する事例が報告された。

同社は、協調的な自動化によって報酬構造を操作していたアカウント群を特定し、停止措置を実施した。ブロックチェーン分析の文脈では、BNB Chainの主要プロジェクトで同期的な取引が集中し大きな利益が生じていた事例も指摘されており、市場操作の排除を進めている。

通報制度と罰則を明確化し透明性の向上を進める

バイナンスは、疑わしいアカウントの報告を受け付ける仕組みを整備した。検証済みの違反を最初に報告したユーザーには、回収された利益の最大50%を報酬として支払う。報告にはスクリーンショット、ユーザーID(UID)、IPアドレス、ブロックチェーンアドレスなどの検証可能な情報が求められる。

同社は、不正ツールの使用やルール違反に対して厳格に対処し、プラットフォームのすべてのアクティビティにおける資格剥奪を含む処分を行う方針を示した。Binance Alphaイベントを通じて得た収益についても、違反が確認された場合は取り消す。公平な競争環境と正当なユーザーの利益を守るため、監視ツールとフィードバックチャネルのアップグレードを進めている。

欧州のAML監査に対応し規制順守を強化する

フランスの銀行規制当局であるACPR(フランス健全性監督破綻処理機構)は、バイナンスやCoinhouseを含む登録済みの仮想通貨事業者に対し、広範なAML(マネーロンダリング対策)検査を実施している。

これは、MiCA(仮想通貨市場規制)に基づく完全ライセンスの取得に向けた重要なプロセスで、企業は内部のリスク管理や取引モニタリング体制の実効性を問われる。

検査は2024年後半に始まり、2026年6月のMiCAコンプライアンス最終期限が近づくにつれ、重要度が高まっている。各国当局は厳格なAML/CFT(テロ資金供与対策)の運用を求め、域内での規制の一貫性を確保する方針だ。バイナンスは、通常の監督の一環として調査に協力し、欧州でのサービス継続へ向けた準備を進めている。

MiCAライセンス取得のハードルを見据える

EU(欧州連合)全域で事業を継続するには、完全ライセンスの取得が不可欠だ。

フランスで基本登録している事業者も、期限までにアップグレードを完了する必要がある。承認を得た企業は一部に限られ、ライセンス取得の難易度は高い。バイナンスにとっても、内部統制の高度化と透明性の強化が欠かせない課題となる。

バイナンスは、内部の市場監視と外部の規制要件の双方に対応しながら、エコシステムの信頼回復と健全性の確保を進めている。ユーザーの通報制度や厳格な罰則の明文化は、公正な分配と早期アクセスの仕組みを守るための措置だ。今後は、取引監視の実効性と規制順守の両立が、同社の運営とユーザー保護の要となる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム