オーストラリアの金融監督局、マネーロンダリングリスクを理由に仮想通貨ATMを禁止か

オーストラリア当局がマネロンリスクを理由に仮想通貨ATMを禁止か

オーストラリア当局は、詐欺リスクが高まる中、AUSTRAC(※オーストラック、Australian Transaction Reports and Analysis Centre:オーストラリア取引報告分析センター)に仮想通貨ATMを制限または禁止を検討している事がわかった。

ABC News (Australia)『IN FULL: Home Affairs Tony Burke addresses the National Press Club(日本語訳:内務大臣トニー・バーク氏がナショナル・プレス・クラブで演説)』より動画引用

※動画は全編英語で放映されており、日本語訳が必要な場合は、画面右下に表示されている『字幕』をクリック。次に、右隣に表示されている『設定』をクリックし、表示されたメニューの中から、『字幕』⇒『自動翻訳』⇒『日本語』の順に設定する事で、大まかな日本語訳が表示されます。

かつては現金とデジタルマネーを繋ぐ便利な橋渡しと考えられていた仮想通貨ATMは、現在、オーストラリアで厳しい監視に直面しており、マネーロンダリングリスクの高まりを受け、仮想通貨ATMを禁止する法律を策定中だ。

現在オーストラリアでは、仮想通貨ATMは6年間で23台から2,000台近くに急増。トニー・バーク(Tony Burke)内務大臣は、詐欺やマネーロンダリングの手段として、ますます利用されている仮想通貨ATMのような高リスク商品を禁止する新たな権限を金融情報機関AUSTRACに付与する計画を発表した。同大臣は、政府は仮想通貨ATMの全面禁止を推進するつもりはないものの、AUSTRACにその実施権限を与えたいと述べている。

同大臣が提出した法案草案では、オーストラリアの金融情報機関FTA(FinTech Agency)が仮想通貨ATMを含む「高リスク商品」を制限または禁止する権限を持つことになると述べた。

飛躍的に増加した仮想通貨ATM

通常の銀行が運営するATMも詐欺や違法行為に利用されているものの、同大臣は、仮想通貨ATMについては、当局による不正資金の取り締まりと追跡の成果が限定的であり、マネーロンダリングのリスクを懸念していると述べたうえで、次のように語った。

仮想通貨ATMを利用する人全員が問題だとは一瞬たりとも思っていません。しかし、現状は、追跡がはるかに困難な領域で発生している深刻な問題です。

オーストラリアでは当初、仮想通貨ATMの普及率は低調であったものの、民間企業が市場に参入し始めた2022年末頃を境に普及が飛躍的に増加。現在では2,008台と、2022年8月の67台から増加し、世界第3位の仮想通貨ATM拠点となっている。

仮想通貨ATMが監視の的に

この新法が承認されると、AUSTRACは金融犯罪リスクのある商品に対してより迅速に対応できる柔軟性を持てる。

AUSTRACのブレンダン・トーマス(Brendan Thomas)CEO(最高経営責任者)は、この動きを歓迎し、進化するリスクへの対応において、同機関の柔軟性が向上すると述べている。同氏は、仮想通貨ATMは、ユーザーが現金をデジタル通貨に交換し、多くの場合、身元を明かすことなく世界中に送金できるため、特に懸念されると指摘。仮想通貨の匿名性という特性により、仮想通貨ATMは詐欺師やマネーロンダリング業者にとって格好の標的となっている。

AUSTRACはすでに仮想通貨ATM運営業者に警告を発しており、一部のライセンスを取り消しや、不正利用を防ぐためATM取引の上限を5,000オーストラリアドル(約485,000円)に設定している。

 

ABOUTこの記事をかいた人

NEXT MONEY運営です。 「話題性・独自性・健全性」をモットーに情報発信しています。 読者の皆様が本当に望んでいる情報を 日々リサーチし「痒いところに手が届く」 そんなメディアを目指しています。