イングランド銀行、ステーブルコインの上限提案は一時的なものと明言

イングランド銀行副総裁がステーブルコインの上限提案について語る

イングランド銀行が提案するステーブルコインの上限について同銀行の副総裁が、一時的なものだと明言している事がわかった。

イングランド銀行のサラ・ブリーデン(Sarah Breeden)副総裁は、ステーブルコインの保有量と取引規模について提案されている制限について、デジタル資産への適応過程における金融システムの安全確保を目的とした一時的な措置だと述べた。2025年10月15日(水曜日)に開催された「DC Fintech Week(DCフィンテック・ウィーク)で講演した同副総裁は、金融セクターがステーブルコインの利用拡大に適応した暁には、段階的に上限を緩和していく意向であると説明したうえで、次のように述べた。

移行が実体経済への資金供給を脅かすことがなくなったと判断されれば、制限を撤廃する予定です。


業界の反発と提案された調整

イングランド銀行は2023年11月の議論文書で初めて制限を提案しており、金融の安定を維持するために1万ポンドから2万ポンド(約200万円~400万円)の上限を提案していた。

しかし、この計画は業界団体から厳しい批判を受け、イノベーションの阻害および英国での仮想通貨関連企業の事業展開阻害の可能性があると警告された。これらの懸念に対処するため、同副総裁は同銀行が年末までにパブリックコメントを実施し、提案に関するフィードバックを集めることを明らかにした。このパブリックコメントでは、企業に対する上限の引き上げやスーパーマーケットや大企業に対する適用除外、そして2024年10月に導入されたブロックチェーンと分散型台帳技術の試験のための英国のデジタルサンドボックスに参加する企業に対する適用除外について検討されるとのことだ。

中央銀行最大の懸念

従来の銀行からステーブルコインへの急激な資金流出のリスクであり、これが英国の家計や企業の信用力の「急激な減少」を引き起こす可能性があると同副総裁は主張している。

銀行がホールセールファイナンスを迅速に拡大できない場合、ステーブルコインへの抑制されない資金流出は「企業と家計の信用の急激な低下」を引き起こす可能性があると警告した。

米国とは異なり、英国経済は銀行信用に大きく依存していることから、制御された移行が不可欠であると指摘した。さらに同副総裁は、ホールセール決済および資産市場決済の中核的な決済機関としてのイングランド銀行の立場を再確認する一方で、トークン化された預金と規制対象のステーブルコインは、進化する金融環境において補完的な役割を果たす可能性があることを認めている。従来の金融機関と新規参入企業の両方に対し、イングランド銀行との連携を呼びかけたうえで、次のように述べている。

業界の皆様には、実験を行い、ユースケースを開発し、この技術を展開していただく必要があります。

 

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