米・連邦裁判所、Bored Ape NFTは証券ではないと判断

カリフォルニア連邦裁判所がBAYCは証券ではないと判断

カリフォルニア州の連邦裁判所は、BAYC(Bored Ape Yacht Club:ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)のNFT(非代替性トークン)は証券ではないと判断し、BAYCの法的地位を争っていた集団訴訟を終結させた。

日本語訳:
カリフォルニア州の連邦判事は、Yuga Labsに対する投資家訴訟を棄却し、同社のBAYC(Bored Ape Yacht Club)NFTとApeCoinは証券を構成しないと判断した。裁判所は、原告がHoweyテストの3つの要素を証明できなかったと述べ、BAYC NFTは投資商品ではなく、会員特典付きのデジタルコレクタブルであることを確認した。

カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所のフェルナンド・M・オルギン(Fernando M. Olguin)判事は、Bored Ape NFTはHowey(ハウィー)テスト(※1)に基づく証券の法的要件を満たしていないと結論付け、Yuga Labsに対する訴訟を棄却。判事は、OpenSeaのようなサードパーティプラットフォームで販売され、NFT保有者の経済的成功とYuga Labsの事業を結びつける「共通事業体は存在しない」と判断しての判決だ。これは、保有者の利益は同社の業績に結びついていないということを意味する。

(※1)Howey(ハウィー)テストとは…
SECが、ある取引が「投資契約」に該当するか=証券として扱われるべきかを判断するために用いる基準の事で
資金の投資=投資家が何らかの資金を投じている
共通の事業=数の投資家が共通の事業やプロジェクトに参加している
利益の期待=投資家が利益を得ることを期待している
他者の努力による利益=その利益が、投資家自身の努力ではなく、発行者や他の第三者の努力に依存して得られるもの
これら四つの要件からなるテストのことで、四つの要件すべてを満たす場合、「投資契約」として証券に該当すると判断される。また、この名称は、1946年のSEC対W. J. Howey社事件に由来している。

この判決は、Yuga Labsの米国証券法遵守をめぐる長年の不確実性に終止符を打ち、NFTの規制上の分類に関するこれまでで最も簡潔な判決の一つとなり、クリエイターにとって大きな勝利となった。

ロイヤルティは共通の経済的利益を損なう

裁判所は、NFTはYuga Labsが運営する取引所ではなく、OpenSeaやCoinbaseといった第三者のマーケットプレイスを通じて購入されたと述べている。

この違いは、Dapper LabsのNBA Top Shot NFTやDraftKings NFTといった過去の事例とBAYCを区別するものであり、これらの事例では、裁判所は発行者と二次市場活動の間により密接な事業上のつながりがあると認定している。

同判事の判決では、Yuga Labsが二次NFT販売からロイヤルティを受け取っていることが、共通の財務構造の主張をさらに弱めると指摘。これは、Dapper LabsのNBA Top ShotやDraftKings NFTに関する過去の訴訟とは対照的で、これらの訴訟では、発行者と二次市場の間により密接な関連性があると裁判所が判断。同社は、Bored Apeが売買されるたびに、購入者が利益を得たか損失を被ったかに関わらず、固定手数料を受け取っており、裁判官は、この仕組みはNFT保有者と同社の金銭的利益を「切り離している」と述べた。

転売ごとに最大10%に達するクリエイターロイヤルティは、NFT市場全体で標準的な仕組みとなっており、裁判所は、Yuga Labsが保有者の投機的な利益に依存せずに販売活動から利益を得ていたため、このようなロイヤルティは投資契約の存在を示唆していないと判断している。

今回の判決は、米国規制当局によるNFTプロジェクトに関する複数の調査を受けて下された。今年初めにSEC(米国証券取引委員会)は、Yuga LabsとOpenSeaの両社に対する調査を終了し、NFT分野における限定的な法執行への移行を示唆していた。

仮想通貨支持者やNFT愛好家は、今回の判決をイノベーションと分散化の大きな勝利として歓迎。法律専門家は、この判決は、独立したマーケットプレイスと透明性の高いロイヤリティシステムを維持する限り、他のNFTプロジェクトを保護するための前例となると述べている。

 

ABOUTこの記事をかいた人

NEXT MONEY運営です。 「話題性・独自性・健全性」をモットーに情報発信しています。 読者の皆様が本当に望んでいる情報を 日々リサーチし「痒いところに手が届く」 そんなメディアを目指しています。