カナダ最大の仮想通貨取り締まりにユーザー激怒

カナダ王立騎馬警察によるTradeOgre取引所摘発を象徴的に描いたデジタルイラスト

カナダ初の取引所閉鎖と背景

RCMP(カナダ王立騎馬警察)は仮想通貨取引所TradeOgreを閉鎖し5,600万カナダドル(約60億円)超を押収した。

国内最大の押収であり法執行機関による取引所の完全解体としては初である。捜査は2024年6月に開始された。ユーロポールからの情報提供を受けマネーロンダリング(資金洗浄)対策班が主導し金融犯罪とサイバー犯罪の専門チームが連携。捜査官はブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンス(Arkham Intelligence)と協力し取引の追跡を実施した。

TradeOgreは FINTRAC(カナダ金融取引報告分析センター)に未登録であり顧客確認を行わずに運営していた事実が確認された。当局は資金源の隠匿を可能にする構造が組織犯罪の資金洗浄に利用されると説明した。

2025年7月30日にはウェブサイトがオフラインとなりXの投稿も停止した。まもなく関連資金が「RCMPにより押収」と表示されるウォレットへ移送された。逮捕者は出ていないがプラットフォーム解体という強い措置が採られた。RCMPは取引データの分析を継続しており今後の刑事告訴の可能性にも言及している。

警告サインの推移

サイト停止前から兆候はあった。運営の沈黙が続きコミュニティでは閉鎖や介入への懸念が拡大していた。押収表示により当局関与が明確化した。

ユーザー反発と資金返還問題

押収発表後コミュニティから強い反発が広がっており、プライバシーコインFiro共同創設者ルーベン・ヤップ(Reuben Yap)氏は合法的な資金まで没収するのかと疑問を呈し顧客確認を欠いたことのみを理由とする包括的処分は無実のユーザーからの窃盗に等しいと批判した。

さらに2017年のBTC-e押収を例に資金請求は膨大な書類と厳しい期限を伴い長期化する可能性を指摘。返還が実現しても多くの場合は押収時点の評価額に基づくため将来の利益を逃す恐れがあると述べた。著名インフルエンサーのCaptainCrypto氏は正当手続きのない包括的押収は金融システムへの信頼を損なうと主張し紛れもない窃盗だとした。MetaMaskのセキュリティ責任者テイラー・モナハン(Taylor Monahan)氏も私と友人は犯罪者ではないと発言し通知や正当な手続きを欠いた押収への懸念を表明した。コミュニティではプライバシーを守ることは犯罪ではないとする主張が広がった。

今回の摘発は規制強化の流れを示す一方でユーザー保護と信頼維持という課題を浮き彫りにした。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム