上場企業の株式が初めて主要パブリックチェーン上に発行
ナスダック上場の投資企業ギャラクシーデジタル(Galaxy Digital)が、フィンテック企業スーパーステート(Superstate)と提携し、自社株式のトークン化を発表した。
A historic first: We’ve partnered with @superstatefunds to allow stockholders to tokenize and hold $GLXY shares onchain. This milestone marks the first time a public company has tokenized its SEC-registered equity directly on a major blockchain. Effective immediately,… pic.twitter.com/pYHrwzGfuh
— Galaxy (@galaxyhq) September 3, 2025
私たちはsuperstatefunds株主がGLXY株をトークン化し、オンチェーンで保有できるようにします。これは、上場企業がSEC登録株式を主要ブロックチェーン上で直接トークン化した初のマイルストーンとなります。株主は、SuperstateのOpening Bellプラットフォームを通じてGLXY株をトークン化できるようになりました。
発行先はSolana(ソラナ)ブロックチェーンで、SEC(米国証券取引委員会)に登録された公開株式が主要なパブリックチェーン上で直接発行されるのは、今回が初の事例となる。
トークン化に際しては、スーパーステートが提供する「Opening Bell」プラットフォームが活用され、同社はSEC登録済みの移転代理人として、チェーン上での所有権更新をリアルタイムで担う。投資家はKYC(本人確認手続き)を完了したうえで、自らのウォレットでGLXYトークンを保有・移転できる仕組みとなっている。
株主権を持つトークン、即時決済と24時間取引を可能に
トークン化されたGLXY株は、ラップ証券(※1)や合成商品とは異なり、クラスA普通株式として法的に従来の株式と同等の権利を持つ。
スーパーステートはSEC登録済みの移転代理人として、ブロックチェーン上での所有者記録の更新をリアルタイムで担っており、従来の株式と同様の扱いでオンチェーン取引が可能となっている。
投資家が証券会社や金融機関などと投資一任契約を結び、その運用を一任する「包み込む(Wrap)」ような包括的な資産運用サービスの事
所有者変更はブロックチェーン上で即時反映
トークンの移転が行われるたびに、ブロックチェーン上の記録が即座に更新され、法的所有者もリアルタイムで書き換えられる構造となっている。これにより、従来の株式取引に伴う遅延や仲介を排除しつつ、透明性と信頼性を確保している。
また、ギャラクシーによる発表では、9月初旬の時点で21人の投資家が合計32,374株のトークン化を完了しており、現段階では限定的ながらも実証フェーズが着実に進んでいることがうかがえる。
Solanaの性能を活かした新たな市場インフラ
GLXYトークンは、Solanaの高速処理能力を活用することで、24時間365日取引が可能となる。
従来の株式市場が持つ営業時間や決済タイミングの制約を超え、即時決済が可能な取引インフラが構築されている点は、資本市場のUXを大きく前進させるものといえる。ギャラクシーのマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)CEO(最高経営責任者)は、「トークン化された株式を通じて仮想通貨の透明性や柔軟性を伝統的な市場にもたらすことが目標」と語っており、今後さらに広範な応用を見据えている。
AMMやDeFi連携も視野に、トークン化の可能性広がる
ギャラクシーとスーパーステートは、SECの「Project Crypto」フレームワーク内で、トークン化された株式をAMM(自動マーケットメーカー)を介して規制遵守のもと取引できる仕組みについても研究している。
これが実現すれば、将来的にOpening Bell上場銘柄がDeFiプロトコルでも流通し、株式市場とオンチェーン流動性の融合が進む可能性がある。ただし、トークン化された株式は市場規模や流動性の面で課題も残しており、EU(欧州連合)規制当局は投資家が従来の株主権を完全に行使できるかどうかに対して懸念を示している。安全性の確保と制度整備が今後の鍵を握る。
仮想通貨と伝統金融の融合が進むなか、ギャラクシーの取り組みはその象徴的な一歩として注目されている。