米国司法省、閉鎖された仮想通貨取引所Garantex(ガランテックス)の幹部に最大600万ドルの懸賞金

DOJがGarantex(ガランテックス)の幹部に最大600万ドルの懸賞金

DOJ(米国司法省)は、960億ドル(約14兆円)以上の違法取引に関与したとされる、閉鎖された仮想通貨取引所Garantex (ガランテックス)の幹部に対し、600万ドル(約8.8億円)の報奨金を懸けた。

仮想通貨コンプライアンスへの懸念が高まる中でDOJは、ロシアと関連があり、現在は別の名称で運営されているGarantexの幹部に600万ドルの報奨金を懸け、経営陣に関する情報提供に対し、巨額の懸賞金を懸けると発表した。Garantexは、ネットワーク内でサイバー犯罪やマネーロンダリングを行うさまざまな犯罪者に利用されていたとされているだけに、今回の動きは重要な規制対応であり、仮想通貨業界全体のコンプライアンス強化を目指すものである。

長年にわたって運営され、サイバー犯罪者による数十億件もの取引を仲介してきたGarantexは、今やブランド名を変え、激しい非難を浴びている。

報奨金の詳細

米・財務省のTOCRP(国際組織犯罪報奨プログラム)は、Garantex幹部の逮捕または有罪判決につながる情報に対し、総額最大600万ドルの報奨金を2つ準備している。

報奨金の内訳として、ロシア国籍のアレクサンドル・ミラ・セルダ(Aleksandr Mira Serda)共同所有者兼CCO(最高コミュニケーション責任者)に最大500万ドル、取引所の他の主要幹部に最大100万ドルが配分される。す。

OFAC(米国財務省外国資産管理局)は、Garantexの再指定と、現在も運営を継続している後継機関であるGrinexの指定に向けて手続きを進めている。これは、2025年初めにテザー(Tether/USDT)が同取引所に関連するウォレットをブロックし、USDT資産を差し押さえるという介入を受けてのものだ。

米国以外でも制裁措置を実施

ドイツとフィンランドの当局も、Garantexのドメインを差し押さえ、Garantexが管理する2,600万ドル(約38.4億円)以上のデジタル資産を凍結することで、この措置を支援している。

OFACはまた、同取引所の幹部3名と、ロシアとキルギス共和国の関連会社6社の幹部の名前についても今後、公表する予定とのことだ。

FBI(米・連邦捜査局)と米国シークレットサービスの報告によると、2019年4月から2025年3月の間に、この取引所は少なくとも960億ドル(約14.2兆円)の仮想通貨取引を処理。また、同取引所を利用してテロ、麻薬密売、身代金など、さまざまな犯罪を遂行する犯罪者から数億ドルの収益を受け取っており、多くの場合、米国の被害者に重大な損害を与えている。

Garantexについて

Garantexは2019年末に設立された後、エストニアで登録されており、業務の大部分はモスクワとサンクトペテルブルクで行われていた。

2022年2月、EFIU(エストニア金融情報機関)がマネーロンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与に関する法律に重大な欠陥があることを明らかにし、犯罪行為に関連するウォレットが発見されたことを受け、Garantexはデジタル資産サービス提供ライセンスを消失。EFIUの執行とOFACの指定後、Garantexは制裁を逃れるために、金融機関がウォレットアドレスを認証できないようにするためのインフラを構築。これにより、取引所は犯罪活動に関与するさまざまな組織へのサービス提供を継続できた。

Garantexに対する今回の取り締まりは、仮想通貨業界における規制監督の強化を浮き彫りにしている。より多くの取引所が監視の対象となるにつれ、コンプライアンスと違法行為に関する対話はこれまで以上に重要になっている。DOJは積極的な姿勢を維持する構えを見せており、今後はすべての仮想通貨取引所にとって規制遵守が最優先事項となることを示唆している。