メタプラネット、戦略的購入でビットコイン保有額を大幅拡大
日本の上場企業メタプラネット(Metaplanet)は、最新の送金により保有するビットコイン(Bitcoin/BTC)の総額が20億ドルを突破した。
これは、同社が掲げる「ビットコイン本位制戦略」に基づく積極的な購入によるもので、国内外で注目を集めている。同社は2024年以降、社債発行や借入を通じて調達した資金を使い、継続的にビットコインを取得。この戦略により、2025年7月時点で保有量は17,132BTC、時価総額で20億ドル(約2,97.50億円)以上に達している。
最新の動きとして、ブロックチェーン分析プラットフォーム「Arkam Intelligence(アーカム・インテリジェンス)」によれば、2025年7月28日に主要投資家であるQCP Capitalから4,670万ドル(約69.3億円)相当のBTCがメタプラネットのウォレットに送金された。この送金は、780BTC(約136.6億円相当)にのぼる追加購入の一部とみられている。
直近では、こうした急激な増加に関する情報がX上でも話題となっており、Arkhamは、次のような内容を投稿した。
METAPLANET’S HOLDINGS HIT $2 BILLION OF BITCOIN TODAY
Metaplanet’s BTC holdings hit $2B this morning after $46.7M flowed into their wallets from QCP Capital.
Metaplanet is the largest Japanese corporate holder of Bitcoin – and they haven’t stopped buying Bitcoin. pic.twitter.com/1f0kuXA8No
— Arkham (@arkham) July 28, 2025
また、1カ月足らず前にも797BTCが購入されており、短期間での大規模な買い増しが続いている。6月末の時点では12,345BTCを保有しており、テスラ(Tesla)社の保有量を上回ったことでも話題となった。
この急速な積み増しは、QCP Capitalの支援を受けながら進められており、日本企業による仮想通貨への関心の高まりを象徴している。
拡張された中期ビジョンと他社の戦略比較
メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)CEO(最高経営責任者)は、2025年の年初来ビットコイン利回りが449.7%に達したことを明らかにし、BTC蓄積戦略の継続を強調した。
同社は当初掲げていた21,000BTCの保有目標を改定し、「5億5,500万円相当のBTC買収計画」と呼ばれる新たなロードマップを策定。これに基づき、2025年末までに10万BTC、2027年までに21万BTCの保有を目指している。また、経営指標にも変化が表れており、2024年第2四半期の売上高は11億円(約740万ドル)に達し、前年同期比で42.4%増加した。
シャープリンクのイーサリアム戦略との対比
同様に仮想通貨戦略を強化している企業として、米国のシャープリンク(SharpLink)が挙げられる。ナスダック上場の同社は、2025年7月に77,210ETH(約3億ドル相当)を新たに購入し、ETHの総保有量は43.8万ETH、評価額は17億ドルを超えた。
保有するETHの多くはすでにステーキングされており、イーサリアム(Ethereum)エコシステムへの積極的な関与がうかがえる。この買収は、ブラックロック出身のジョセフ・シャロム(Joseph Chalom)氏が共同CEOに就任した直後に行われた。
Yahoo Financeのデータによると、同社の株価は2025年7月25日に一時5.7%下落したが、その後の時間外取引では7%反発し、23.53ドルで取引された。
一方、メタプラネットのアプローチは、日本企業としては異例の規模とスピードであり、アジア圏における仮想通貨を活用した財務戦略の先駆けとされている。
株価の反応とボラティリティのリスク
メタプラネットの株価は、ビットコインの保有量増加とは裏腹に下落傾向にあり、過去30日間で25%、年間高値からは40%以上下落しており、保有するBTCが過去最高値付近で取引されているにもかかわらず、市場の評価は伸び悩んでいる。
この背景には、債務を活用したBTC購入戦略によるリスクがある。レバレッジを用いた資産取得は、原資産の価格変動により企業価値が大きく左右される特性を持つ。実際、戦略の手本とされるMicroStrategy(マイクロストラテジー)も同様に株価が年間高値から25%下落しており、仮想通貨価格の下落時には損失拡大や資産売却の圧力が強まる可能性がある。
このような構造は、企業株がビットコイン価格のレバレッジ取引に近い役割を果たすことになり、弱気相場では株主にとって大きなリスクとなる。