ブラックロックがIPO前にサークルの株式10%を取得か
世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)社は、Circle Internet Group(サークル・インターネット・グループ)の近日公開予定のIPO(新規株式公開)において、株式の約10%を取得する計画であることがブルームバーグによって報じられた。
CircleがIPOを控えていると報じられたまさにその矢先、BlackRockが、Circleの株式10%を取得するための交渉を進めている事が報じられている。SEC(米国証券取引委員会)への提出書類によると、USDコイン(USDCCoin/USDC)発行会社によるこのIPOは、最大6億2,400万ドル(約898億円)の調達を見込んでいる。
共同創業者兼CEO(最高経営責任者)であるジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏も売却株主の一人であり、IPO価格は6月4日に決定される予定だ。また、キャシー・ウッド(Cathie Wood)氏が率いるArk Investment Management(アーク・インベストメント・マネジメント)社も、最大1億5,000万ドル(約215.8億円)相当の株式購入に関心を示している。報道によると、同社のIPOは応募超過となり、発行済み株式数を上回る注文が殺到しているという。
この動きは単なる投資にとどまらず、ステーブルコイン市場の劇的な変化を予感させるものであり、仮想通貨のライバル企業、世界金融、そしてデジタル通貨の未来そのものに影響を与える事が予想される。
BlackRockはこの投資を正式に認めておらず、今後計画を調整する可能性もあるが、同社の潜在的な出資は、仮想通貨セクターにおける従来型資産運用会社の役割拡大を浮き彫りにするものだ。現在、CircleとBlackRockは両社ともコメントを控えている。
ますます深化する両者の関係
BlackRockは既にCircle Reserve Fundを運用しており、このファンドは世界最大級のステーブルコインの一つであるUSDC(現在の時価総額は約610億ドル)の裏付け資産の90%を保有している。
両者の関係深化は、4年間の独占的パートナーシップによって確固たるものとなっており、BlackRockはCircleの準備金を管理し、競合する独自ステーブルコインを発行しないことに同意している。この条項は、Circleが株式市場に参入する際に、事実上競争上の優位性を与えることになる。
評価、競争、IPOの影響による波及効果
CircleのIPOは既に応募超過となっており、一流投資家からの需要により、評価額は60億ドル近くに達している。
そのような背景から、BlackRockの関与は市場の信頼感を高め、IPO価格を押し上げ、仮想通貨企業の上場における新たなベンチマーク設定が期待されている。
ただし、ライバル企業にとってはプレッシャーとなっており、USDCの主要競合企業であるテザー(Tether)社は、IPOの必要性を公に否定しているが、BlackRockの支持は機関投資家の資金流入をUSDCに向かわせる可能性がある。サークルの買収を検討しているとうわさされているコインベース(Coinbase)とリップル(Ripple)は、今後、他のステーブルコイン企業との提携または買収競争に突入する可能性がある。
ブラックロックの10%出資が確定すれば、従来型金融と分散型金融の融合における新たな時代の幕開けとなり、USDCが信頼できるデジタル通貨であることを実証するだけでなく、規制当局や銀行に対し、ステーブルコインが今後も定着し、世界の金融界の巨人によって形作られていくというシグナルとなることが期待されている。