ウィンターミュートが米国市場へ本格進出しNYに拠点設立
仮想通貨流動性プロバイダーのウィンターミュート(Wintermute)は、米国市場への本格進出を発表し、ニューヨーク市に新たな本社を設立した。
同社は、ニューヨークの金融ハブとしての地位と進化する米国のデジタル資産規制を、事業拡大の鍵と位置づけている。報道によると、ニューヨークオフィスは北米事業の拠点として、米国に拠点を置く金融機関や仮想通貨取引所との提携に重点を置く方針だという。
同社はこれまで、ロンドンを拠点としてグローバルに事業を展開してきたが、米国での市場機会と政策対話への関与を強化する必要性から、ニューヨークに新たな拠点を設けた。この動きは、変化しつつある米国の規制環境と、新たな市場機会を見据えた戦略的な展開と捉えられている。
政策対応の強化とデジタル資産規制への関与
これに加え、米国での政策戦略強化を目的に、元ブロックチェーン協会で政府関係担当シニアディレクターを務めたロン・ハモンド(Ron Hammond)氏を政策・提唱部門の責任者に任命した。
同社によれば、同氏は10年近い政策経験を有し、連邦議会においてトークン分類法を含む超党派の仮想通貨関連法案の起草に関与した実績を持つ。以前は、共和党のウォーレン・デイビッドソン(Warren Davidson)下院議員(オハイオ州選出)の金融サービス政策責任者も務めていたという。ハモンド氏は今回の起用に際して次のように述べている。
デジタル資産市場における世界的な大手企業であるウィンターミュートに加わることができ、大変嬉しく思います。デジタル資産業界にとってこの重要な時期に、ウィンターミュートが米国での拠点を確立することになります。米国の規制環境がより建設的になるにつれ、責任あるイノベーションを促進し、政策立案者や業界関係者との連携を深める絶好の機会が生まれると考えています。
ハモンド氏の起用により、同社は米国市場での政策形成に積極的に関与する姿勢を明確にしている。今後は、連邦および州レベルの政策立案者や業界団体、SECをはじめとする規制当局との関係構築を主導していく予定だ。
現在、同社はグローバルで多数の取引ペアに対応し、大規模な取引量を処理しているとされる。米国進出によって、新たな流動性供給先の開拓や、政策レベルでの発言力向上が期待されている。今後、規制が整備される米国市場において、同社がどのような戦略を展開していくか注目が集まる。