Metaはステーブルコインの人気と普及拡大を背景に再び関心を寄せる
Meta(メタ)は、規制当局の圧力により以前の仮想通貨プロジェクトであるDiem(ディエム)を放棄してから3年、支払い管理のためのステーブルコイン導入について協議をはじめている。
ステーブルコイン市場が2,450億ドル(約35.7兆円)を超え、米国議会が規制に動き出す中、同社は仮想通貨業界に再参入し、グローバル決済のためのステーブルコインの活用を検討している。クロスボーダー決済にステーブルコインを統合するため、仮想通貨企業と予備的な協議を開始。匿名の情報筋によると、交渉を主導するため、仮想通貨のノウハウを持つ製品担当副社長を雇用したとメディアが報じている。同社は2019年6月、大手企業コンソーシアムが支援するグローバル・ステーブルコインとして、当初Libra(リブラ)と呼ばれていたDiemプロジェクトを立ち上げたが、規制上の問題により2022年1月にDiemプロジェクトを断念している。
Metaがステーブルコインに再注目している理由
Metaが最近になってステーブルコインに再注目した背景には、米国の規制動向の進展とステーブルコインが世界的に注目を集めている事にある。
Stripe社によるステーブルコインスタートアップ企業Bridge社の11億ドルでの買収や、金融会社Fidelityによる独自ステーブルコイン開発の発表など、従来の金融業界は、“クロスボーダー決済手段としてのステーブルコインの活用事例”に目を向け始めている。
同社がステーブルコインに注目しているというニュースは、同社がフィンテックと決済を専門とするジンジャー・ベイカー(Ginger Baker)氏を製品担当副社長に迎えてから数カ月後に発表。ベイカー氏はフィンテックと仮想通貨業界では著名な人物で、以前はフィンテック企業Plaidで幹部を務め、現在もStellar Development Foundationの理事を務めており、同氏は自身の経験を生かし、Metaのステーブルコイン事業推進に貢献しているという。これらの検討については3つの情報筋が、今年初めに同社が仮想通貨インフラ企業と接触したことを確認している。
協議はまだ初期段階にあり、ステーブルコインが電信送金などの他の決済手段に伴う高額な手数料なしに、異なる地域の個人に届く可能性に焦点を当てているという。同社がステーブルコインによる決済を決定した場合、CircleのUSDCのような単一のプロバイダーではなく、複数のステーブルコインを活用すると予想する声も聞こえている。