ジャオ・チャンポン氏、トークン上場プロセスの透明性に警鐘
バイナンスの共同創業者で前CEO(最高経営責任者)のジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏は、同取引所のトークン上場プロセスに対して疑問を呈し、改善の必要性を訴えている。
Last lastly, as an observer, I think the Binance listing process is a bit broken. They announce, then list 4 hours later. The notice period is necessary, but in those 4 hours, the token prices go high on DEXes, and then people sell on CEX…
Not sure if there is a solution for…
— CZ 🔶 BNB (@cz_binance) February 9, 2025
観察者として、Binanceの上場プロセスは少し壊れていると思います。彼らは発表してから4時間後に上場します。通知期間は必要ですが、その4時間の間に、トークンの価格はDEXで高騰し、人々はCEXで売却します…
ただし、これに対する解決策があるかどうかはわかりません。注意してください。
同氏は、新規トークンの上場告知から実際の上場までの短期間(通常4時間)が市場の価格変動を助長し、不安定な取引環境を生み出していると指摘。同氏は、バイナンスだけでなくコインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken)といった主要CEX(中央集権型取引所)にも同様の課題が存在する。上場直後のトークンが短期間で需要が急増することでボラティリティが高まり、価格の急騰と急落を引き起こす要因になっていると述べた。
この短期間の上場プロセスは、一部の投資家に有利な状況を生み出し、情報格差を拡大させる可能性がある。また、上場直後に発生する急激な価格変動が、一般投資家にとって不利益をもたらすリスクを伴うことを同氏は強調。このような市場の不安定さが、取引所の信頼性を損なう恐れがあるため、バイナンスを含むCEXは、より透明性と公平性を重視した上場プロセスの導入を検討する必要があるとしている。
テストトークンの事例とその影響
今回の問題提起は、BNBチェーンの教育用ビデオチュートリアルで紹介されたテストトークン「TST(Test)」が予期せぬ注目を集めたことから始まった。
当初、TSTは単なるサンプルトークンとして使用されていたが、中国のインフルエンサーによる取引が活発化し、瞬く間に価格が急騰。CoinMarketCapのデータによると、TSTは一時的に4億8,900万ドル(約743.4億円)近い時価総額に達したが、その後50%以上も急落。この価格急騰は、BNBチェーンのチュートリアルビデオでトークンの名前が短時間登場したことが一因とされ、ビデオは推奨目的ではないと同氏が明言したにもかかわらず、市場の過熱は抑えられなかった。
![TSTトークンの価格推移を示す7日間のラインチャート。2月9日に急騰し、2月10日にピークに達した後、急落。その後は緩やかな回復傾向を示している。](https://nextmoney.jp/wp-content/uploads/2025/02/TST_7D_graph_coinmarketcap-300x200.jpeg)
出典:CoinMarketCap
TSTの急騰は、バイナンスの上場プロセスにおける情報の不均衡とその影響力の大きさを示しており、同氏はこの事例を通じて、より公正で透明な市場運営の重要性を改めて訴えている。
CZの提案と仮想通貨業界への影響~上場プロセスの見直しと自動化の提案~
同氏は、CEXの上場プロセスがDEX(分散型取引所)とは異なる点に着目し、CEXがDEXのように自動的にトークンを上場するモデルへの移行を提案している。
このモデルは、透明性と公平性を高めるだけでなく、取引の過度な投機を抑制する効果が期待される。さらに、2024年5月のレポートによると、バイナンスに上場されたトークンの80%以上がデビューからわずか6カ月以内に価値を失ったことが明らかになっており、上場後のトークンパフォーマンスに対する懸念が高まっている。このデータは、同氏の提案の正当性を裏付ける重要な証拠となっている。
現在、同氏はバイナンスの意思決定プロセスには関与していないが、彼の提案は業界全体に影響を与える可能性がある。中央集権型取引所におけるトークン上場の透明性と公平性に対する関心が高まっており、今後のバイナンスおよび他の大手取引所の対応が注目されている。