デリビット、EU制裁でロシア市場からの撤退を決定

デリビットがEU制裁によりロシア市場から撤退することを象徴するヨーロッパとロシアの地図、EUの旗とアクセス制限のアイコンが表示された画像

仮想通貨取引所デリビットがロシア市場からの撤退を決定

仮想通貨デリバティブ取引所のDeribit(デリビット)は、EU(欧州連合)の新たな制裁措置に従い、ロシア市場からの撤退とロシア国民へのアクセス制限を発表した。

この決定は、EUの対ロシア制裁が仮想通貨業界に与える影響の大きさを示している。デリビットがロシア市場から撤退する主な理由は、EUが発動した最新の対ロシア制裁パッケージである。この制裁は、ロシアの金融機関や個人への仮想通貨取引規制を強化するもので、EU圏内に拠点を置く企業がロシア市場と取引を継続することを困難にしている。

2025年2月5日に発表されたデリビットの声明では

ロシアに対するEUの制裁により、例外が適用されない限り、ロシア国民およびロシア居住者を顧客として受け入れることはできない。

と明言。同社の親会社がオランダにあるため、これらの制裁措置が直接適用されることとなった。

ロシアユーザーが直面する新たな制限

デリビットは、ロシアに居住する個人および法人に対して、アカウントの新規作成および既存アカウントへのアクセスを制限する。

ただし、EEA(欧州経済領域)およびスイス在住のロシア国民は引き続き取引が可能である一方、UAEアラブ首長国連邦など、非EEA諸国在住のロシア人やロシア企業は全面的に利用が制限される。

日本語訳:
デリバティブ取引所DeribitはEUの制裁によりロシア市場から撤退する。
2月17日からはポジションのクローズのみが許可され、3月29日にはいかなる取引も不可能になります。

デリビットが顧客に送信したメールによると、2025年2月17日からは「削減のみモード」に移行し、既存のポジションを閉じるかリスクを軽減する新規注文のみが可能となる。最終的に、2025年3月29日にはすべてのオープンポジションが強制的にクローズされるが、資産の引き出しに関しては制限が設けられていない。

デリビットの立場とその背景にある事情

デリビットは公式声明で、「EUの規制に準拠することが最優先事項であり、今回の決定は苦渋の選択だったが、法的枠組みを守るためには不可欠である」と述べている。

同社は2016年にオランダで設立され、現在はパナマに拠点を移しているが、依然としてEUの規制の影響を受ける立場にある。この動きは、2020年にEUが導入した厳格なAML(マネーロンダリング防止)ルールに従い、仮想通貨プラットフォームに対して顧客の識別を義務付けた規制強化の一環とされている。今回のデリビットの決定は、他の仮想通貨取引所にも波及する可能性があり、EU圏内に拠点を置く企業は、同様の規制遵守を求められることから、今後もロシア市場からの撤退が相次ぐと予想される。これにより、ロシア国内の仮想通貨取引環境はさらに厳しさを増すだろう。

デリビットのロシア市場撤退は、EUの制裁が仮想通貨業界に与える影響の深刻さを物語っている。今後、国際情勢や規制動向により、グローバルな仮想通貨取引環境はさらに大きな変化を迎えることになるだろう。各国の規制強化が進む中、取引所やユーザーは常に最新の動向に注意を払う必要がある。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム