ヴィヴェック・ラマスワミ氏がD.O.G.E.のリーダーシップ辞任
ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy)氏がD.O.G.E.(Department of Government Efficiency:政府効率化局)の指導的役割を辞し、政治の世界で新たな挑戦に乗り出した。
D.O.G.E.はドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が就任初日に大統領令で設立したもので、その主な目的は予算削減と人員削減を通じて連邦政府の支出を減らすことである。この諮問(しもん)機関はイーロン・マスク(Elon Musk)氏が好む仮想通貨ドージコイン(Dogecoin/DOGE)にちなんで名付けられた。
D.O.G.E.でのラマスワミの役割と成果
ラマスワミは、D.O.G.E.内で重要な役割を果たしてきており、マスク氏とともにプロジェクトの戦略的方向性を策定し、連邦政府の効率化を推進するリーダーシップを発揮した。
D.O.G.E.は当初、連邦予算を2兆ドル(約311.8兆円)削減するという野心的な目標を掲げていたが、最近その目標を1兆ドル(約155.9兆円)に修正。この変更により、D.O.G.E.の有効性について疑問視する声が一部で上がっている。ジャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏など、批評家たちはD.O.G.E.に執行権限がない点を問題視している。
ラマスワミ氏の辞任と知事選への挑戦
ラマスワミの辞任はトランプ大統領の2期目就任と同時期の1月21日(火曜日)に発表された。
発表の際、連邦政府のコスト削減に焦点を当てた取り組みはマスク氏の指導に一本化された。辞任に際し、ラマスワミはD.O.G.E.の設立に貢献できたことを誇りに思うと述べ、政府運営を効率化するマスク氏とチームの能力に自信を示した。また、地元オハイオ州での計画をほのめかし、トランプ氏の「アメリカを再び偉大にする」ビジョンを支持する姿勢を明確にした。
事情通によると、ラマスワミは2027年1月に任期を終える現マイク・デワイン(Mike DeWine)州知事の後任を目指し、オハイオ州知事選への出馬準備を進めている。
DOGEの今後とマスクの指導
ラマスワミ氏の辞任により、D.O.G.E.のリーダーシップはマスク氏に一本化されており、マスク氏は「D.O.G.E.を地球規模の通貨にする」という独自のビジョンを掲げており、今後どのような方向に進化するのか注目される。
D.O.G.E.の役員アンナ・ケリー(Anna Kerry)氏は、活動中のメンバーが政治活動を行うことを禁じる諮問グループ内の規定に基づき、ラマスワミ氏の辞任は必要だったと述べた。一方、ラマスワミ氏の政治的野心がマスク氏との緊張を生んだとの報道もある。
投資会社とビットコインETF
ラマスワミがD.O.G.E.を離れる背景には、彼の事業活動が関係している可能性が指摘されている。
彼が共同設立したストライブ・アセット・マネジメントは、ビットコインに特化したETF(上場投資信託)「ストライブ・ビットコイン・ボンドETF」の規制当局認可を申請しており、金融分野での取り組みをさらに強化している。このような動きがD.O.G.E.での活動とのバランスに影響を与えたと考えられる。
今後の焦点
ラマスワミ氏が政治の舞台でどのような成果を上げるか、そしてD.O.G.E.がマスクの指導の下でどのように発展するかが注目される。
効率化の分野でのラマスワミの経験は、オハイオ州の政治に新たな視点をもたらす可能性がある。同時に、D.O.G.E.も新たな成長機会を模索する中で、より実践的な成果を示すことが求められるだろう。