ドナルド・トランプ氏、チョークポイント作戦2.0の終結を誓う
ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が大統領としてホワイトハウスに戻る準備を進める中、「チョークポイント作戦2.0(Operation Choke Point 2.0)」を解体を誓っている。
仮想通貨企業の銀行アクセスを制限しているという、秘密の銀行規制により、業界が抑圧されていると長期間非難されてきたこのプログラムは、米国におけるイノベーション、規制、金融の自由に関する議論の火種となっている。金融アクセスをめぐる政治的緊張が高まる中で、銀行の障壁が仮想通貨企業に課題を突き付けており、同氏は、大統領に選出されれば、チョークポイント2.0作戦を終わらせると誓っている。
トランプ氏が2期目の任期に向けて準備を進める中、チョークポイント2.0作戦をめぐる議論は再び白熱しており、長い間影を落とされてきた仮想通貨企業や、業界を不当に標的にしていることを知っている観測筋は、トランプ氏が断固たる行動をとってこの作戦を解体することを期待している。
チョークポイント作戦2.0とは
2013年にオバマ政権時代にペイデイローン(※1)業者や銃器販売業者などの業界を標的とした作戦であったオリジナルチョークポイント作戦の後継と見られる作戦で、仮想通貨業界の金融システムへのアクセスを制限することを目的としているとされている。
これらの取り組みの目的は、詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)と戦うため、銀行と特定の高リスク産業との関係を調査することで、両作戦は、規制圧力を主な手段として不利な産業をターゲットにしている。最初の“チョーク”が銀行にペイデイローン業者、銃器販売業者、その他の不利なビジネスとの関係を断つように圧力をかけたのに対し、チョークポイント作戦2.0は規制の脅威を利用して銀行に仮想通貨ビジネスとの関係を断つように強制するとされているものだ。
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チョークポイント2.0は本当に存在するのか
バイデン政権はその存在を否定しているものの、批評家らは一連の執行措置を証拠として指摘。SEC(米国証券取引委員会)、FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:米連邦預金保険公社)、OCC(Office of the Comptroller of the Currency:米国通貨監督局)はいずれも、権限を利用して銀行が仮想通貨企業と取引するのを阻止していると非難されている。
連邦規制当局が2023年1月に共同声明を発表し、銀行に仮想通貨のリスクについて警告した後、疑惑の取り締まりが明らかになった。それから約2カ月後、仮想通貨銀行業界の2つの主要プレーヤーであるシルバーゲート銀行とシグネチャー銀行は混乱に直面。シルバーゲートは破綻した仮想通貨取引所FTXと関係があったが、崩壊はそれだけが原因ではなく、問題の大部分は、彼ら自身のリスクの高いビジネス手法にあった。
シグネチャー銀行は仮想通貨業界と密接な関係があり、シリコンバレー銀行の破綻後に銀行取り付け騒ぎを経験。同銀行は当時まだ財政的に健全であったにもかかわらず、最終的に規制当局に買収されている。同銀行の取締役の1人であるバーニー・フランク(Barney Frank)氏は、この行動は規制当局が銀行に仮想通貨セクターとの取引を思いとどまらせたいとの明確なメッセージであると主張している。
トランプ氏の約束
これらの措置は仮想通貨エコシステムに衝撃を与え、業界の多くの人々を苛立たせ、警戒させている。
トランプ氏は選挙活動を通じて、自らを仮想通貨業界の擁護者と位置づけ、チョークポイント2.0作戦を終わらせ、金融サービスへの公平なアクセスを回復することを誓言。2024年のビットコイン会議で、同氏は次のように述べている。
大統領として、私は直ちにチョークポイント2.0作戦を停止します。彼らはあなた方のビジネスを締め出そうとしています。私たちはそれを許しません
また、SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長やFDICのマーティン・グルンバーグ(Martin Gruenberg)委員長など、2025年初頭に退任予定の重要な規制当局者を解雇すると宣言。両氏らはそれぞれ、2025年1月20日と1月19日付けで退任を発表している。
i wont rest until every name on this graphic is scratched out! pic.twitter.com/24zR92G5Ks
— nic 🎄 carter (@nic__carter) May 20, 2024
@nic__carter
やったぜファミリー
⇓
@zerohedge
FDICのグルンバーグ議長が退任すると発表
おい
ゲイリーゲンスラー
次は君だ
⇓
@nic__carter
このグラフィック上のすべての名前が消去されるまで私は休みません!
トランプ氏が大統領に復帰することで、仮想通貨業界は注目しており、チョークポイント2.0作戦を解体するという彼の約束は、より好ましい規制環境への道を開き、米国をデジタル資産イノベーションの中心地として再活性化させる可能性がある。トランプ次期政権がこれらの約束を果たせるかどうかはまだ分からないものの、現時点で仮想通貨業界は慎重ながらも楽観的だ。