ナイキ(NIKE)が2021年に買収したNFTスニーカーおよびデジタルアバター企業RTFKT(アーティファクト)が事業を終了することを決定した。この動きはNFT業界だけでなく、ナイキのデジタル戦略にも波紋を広げる可能性がある。
RTFKTの功績とNFT市場の現状
RTFKTは2020年に設立され、スニーカーカルチャー、ゲーム、デジタルファッションを融合させた先駆的なプロジェクトで注目を浴びた企業である。特に、村上隆とのコラボレーションによるデジタルアートClone Xは、NFT市場における画期的な事例として位置づけられている。
OpenSeaより画像引用
しかし、NFT市場全体が低迷している影響を受け、Clone Xのフロア価格は大幅に下落した。例えば、全盛期には10ETH以上で取引されていたNFTが、現在ではその半値以下で取引される状況が続いている。RTFKTの事業終了の背景には、こうした市場の変化が影響していると考えられる。
今後のナイキの動向
ナイキは公式声明で「RTFKTの技術と資産を最大限活用し、デジタル分野における新たな価値を提供する」としている。しかし、この発表には具体的な戦略が示されておらず、同社がNFT事業を継続するのか、それとも方向転換を図るのかについては不透明である。
一方で、ナイキのデジタル戦略の一環として、引き続きMetaverseやNFTプラットフォームでの展開が期待されている。特に、スニーカーカルチャーとの親和性が高いデジタルコレクションは、今後も重要な市場として残る可能性がある。
揺れるNFT業界とX上での議論
今回の決定を受け、X(旧Twitter)上ではNFT界隈の間でさまざまな議論が繰り広げられている。
— RTFKT (@RTFKT) December 2, 2024
RTFKTの事業終了に対し、一部の業界関係者は、これをNFT市場の課題を象徴するものと捉え、現状の市場低迷が与える影響について意見を交わしている。また、ポジティブに捉える声もあり、今回の決断を未来への一歩とする意見も見られる。
これらの議論はNFT業界全体に波及し、RTFKTの終了がどのような影響を与えるのか注目が集まっている。
NFT市場でのシューレースはどこに結ぶ?
RTFKTの事業終了は単なる一企業の終焉ではなく、NFT業界全体の未来を占う試金石といえる。ナイキが今回の決断を通じてどのようにデジタル戦略を再構築するのかは、NFT市場全体にとっての分岐点となるだろう。市場の低迷が続く中、ナイキが新たな取り組みを通じてNFTに新しい価値を見出すのか、それとも撤退を含めた別の選択肢を選ぶのか――その動向は多くの企業や投資家に影響を及ぼす。
NFTの未来が不確実な状況にある中、ナイキが次にどんな一手を打つのかは業界全体にとって注目すべきポイントである。特に、RTFKTの資産をどのように活用するのか、新たなプロジェクトで何を目指すのか。その答えがNFT市場の将来像を左右するといっても過言ではない。