ビットコインフォグ創設者に懲役12年半の禁固刑
仮想通貨ミキサービットコインフォグ(Bitcoin Fog)創設者、ロシア系スイス人のローマン・スターリンゴフ(Roman Sterlingov)容疑者は、同プラットフォームを通じて4億ドル(約614.4億円)をマネーロンダリング(資金洗浄)した罪で懲役12.5年の禁固刑と、3億9,500万ドル相当の仮想通貨没収を命じられたことが分かった。
ビットコインフォグ創設者である同容疑者は、4億ドル以上の犯罪収益をロンダリングした大手仮想通貨ミキシングサービスを運営した罪で懲役12.5年を宣告された。ワシントン連邦裁判所の判決は、米・連邦地方裁判所のランドルフ・モス(Randolph Moss)判事によって下され、押収された仮想通貨や、1億300万ドル(約158億円)以上のビットコイン(Bitcoin/BTC)が入ったウォレットに対する同容疑者の権利を含む、3億9,500万ドル相当の資産の没収も命じられた。この判決は、米国政府が、悪徳な個人が違法行為に使用している仮想通貨プラットフォームの取り締まりに真剣に取り組んでいることを改めて印象付ける判決となった。
ビットコインフォグは、ダークネット市場での麻薬関連を含む犯罪行為で得た資金を犯罪者が洗浄する便利な手段であると主張。検察は、犯罪者がこの仮想通貨プラットフォームを利用して、麻薬などの違法行為で得た資金をロンダリングしたと指摘。3月に開かれた陪審裁判の後、同容疑者はマネーロンダリングの共謀、マネーロンダリング、未登録送金事業の運営で有罪判決を受けている。
同プラットフォームは、ユーザーがデジタル資産を組み合わせたり“ミキシング(混ぜる)”することを可能にしたため、個々の取引を追跡することが困難になった。検察は、同容疑者が提供するサービスは約10年間機能し、追跡不可能な取引を可能にして大規模マネーロンダリング活動を支援していたと述べた。また、ニコル・M・アルジェンティエリ(Nicole M. Argentieri)首席副司法次官は、同容疑者が同プラットフォームを通じて4億ドル以上の犯罪収益をロンダリングしたと述べ、この判決は犯罪行為を助長する者を訴追するDOJ(米国司法省)の取り組みを示すものだと指摘した。
裁判官は判決の抑止力を検討
モス判事は 12.5 年の刑を言い渡したが、これは検察がビットコインフォグ創設者に求めた金庫30年の刑よりも大幅に短く、クリストファー・ブラウン(Christopher Brown)検察官は、この計画の長期的かつ大規模な性質を理由に、次のように厳しい刑罰を主張していた。
これは長期間にわたる驚くべき規模の犯罪行為だ
とはいえ、同判事は、この犯罪行為を考えると終身刑は過剰だとしつつ、資金を追跡することが困難な場合が多いことから、“仮想通貨業界には強力な抑止力が必要である”と強調した。同容疑者は判決公判で次のように述べている。
私の行動によって生じたかもしれないあらゆる損害について申し訳なく思っている。私はより良い人間になることに全力を尽くしています。
なお、弁護側は、同容疑者がビットコイン・フォグの運営に関与した直接的な証拠はないとして、裁判官に最長7.5年の懲役を命じるよう要請すると同時に、同容疑者の弁護士は、依頼人がミキシングサービスをコントロールしていたことを示すサービスログや目撃証言は存在しないと主張した。
同容疑者への判決は、詐欺やマネーロンダリングに関わる他の注目度の高い事件が展開する中、仮想通貨業界が精査される中で下され、連邦判事は、終身刑は罪の程度と矛盾していると述べた。しかし、モス判事は、他の仮想通貨界の著名人が同じことをするのを思いとどまらせるには、刑罰は十分に厳しいものでなければならないと説明している。