DBSが機関投資家向けに仮想通貨オプションとストラクチャードノートを開始
シンガポール最大の銀行であるDBS銀行は、機関投資家向けに仕組債(※デリバティブ内蔵債券)とOTC仮想通貨オプション取引を開始する計画を発表したことが明らかになった。
DBS銀行は2024年第4四半期から、時価総額で2大仮想通貨であるビットコイン(Bitcoin/BTC)とイーサリアム(Ethereum/ETH)の価格に連動した金融商品を提供する予定だ。公式発表によると、ビットコインとイーサリアムへのエクスポージャーを求める機関投資家顧客は、DBSの仕組債とオプション取引を通じてこれらの資産に投資ができる。
最近のGlobalBankのレポートによると、DBS銀行はシンガポールの資産規模で最大の銀行であり、その価値は5,091億ドル(約72兆円)に上る。
仮想通貨オプション契約は、原資産に関連するボラティリティリスクから投資家を保護することになり、契約の価値は資産の価格、特にこの場合はビットコインとイーサリアムから得られ、この契約により、投資家はあらかじめ決められた価格で資産を売買するタイミングを選べるとのこと。
一方、仕組債は銀行が顧客に発行する負債証券であり、仮想通貨オプション契約と同様、仕組債のリターンは原資産の価格によって決定される。
複数オプション構造活用で市場のボラティリティから身を守る
今回の発表では、顧客は複数のオプション構造を活用することで、資産を悩ます市場のボラティリティから身を守れることが明らかにされた。
例えば、プットオプション では、DBSの顧客は、資産が指定された日付に規定価格よりも急落するかどうかに関係なく、所定の価格と日付でBTCを売却できる。DBSのトレーディング・ストラクチャリングヘッドであるジャッキー・タイ氏は、この開発について、今後のソリューションの重要性を強調。同氏によると、プロの投資家がデジタル資産の保有を増やす中、仮想通貨オプション取引と仕組債は、高度なポートフォリオ管理戦略を取り入れる新たな方法を提供するという。さらに同氏は、今度のサービスによって顧客の仮想通貨エコシステムへの接触機会が拡大すると指摘。注目すべきは、DBS銀行が仮想通貨空間における新しいプレーヤーではないにもかかわらず、同銀行は、新興産業へのアクセスを顧客に提供してきたとのことだ。
2022年、DBSは同社のバンキング・アプリ、DBS Digibankに仮想通貨のスポット取引を統合。このサービスにより、DDEX (DBSデジタル・エクスチェンジ)と名付けられた同行のネイティブ取引所から、認定資産投資家がビットコイン、リップル(Ripple/XRP)、イーサリアム、ビットコインキャッシュ(BitcoinCashi/BCH)の4つの仮想通貨を直接取引できるようになった。さらに先月、同銀行はデジタル決済プロバイダーのアントインターナショナルと提携し、EVM(イーサリアム仮想マシン)互換のブロックチェーン上にDBS Treasury Tokensを導入するパイロットプロジェクトを実施したとのことだ。