HSBCオーストラリアが仮想通貨取引所への支払いをブロック
HSBCオーストラリアは、仮想通貨取引所への顧客支払いを停止を発表したことが明らかになった。
HSBCオーストラリアは、「2024年7月24日より、HSBCはお客様の保護のため、仮想通貨取引所への支払いが行われていると合理的に考えられる銀行口座およびクレジットカードからの支払いをブロックします。」とコメント。同銀行は仮想通貨取引所への支払いは禁止するが、顧客がこれらのプラットフォームから資金を受け取ることは引き続き許可しており、どの仮想通貨取引所がこの制限の影響を受けるかについての詳細は明らかにされていない。
2023年には1億7,000万ドル以上の詐欺被害
HSBCオーストラリアのこの動きは、コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行、ウェストパック銀行、オーストラリア・ニュージーランド・バンキング・グループといったオーストラリアの主要銀行が約1年前に取った行動と一致している。
同銀行は、オーストラリア人が昨年(2023年)、投資詐欺で1億7,100万ドル(約263.2億円)もの損失を被ったという報告書を指摘。オーストラリアの金融監視機関も仮想通貨に警鐘を鳴らし、彼らは仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になる可能性があると指摘している。同当局によると、決済に使われる仮想通貨は特に脆弱(ぜいじゃく)だとされており、今のところリスクレベルは中程度だが、数年後には大きくなると予想しているという。
また、ATO(Australian Taxation Office:オーストラリア税務局)も関与を強めており、彼らは仮想通貨取引所から個人データと取引データの収集を開始し、約120万口座をカバー。ATOの目的は仮想通貨の取引を正確に報告していない人を捕まえることにあり、これには仮想通貨の売買だけでなく、日常的な買い物での使用も含まれているとのこと。さらにATOは、銀行口座番号やウォレットのアドレスなどの取引データとともに、生年月日、連絡先、ソーシャルメディアのプロフィールなどの詳細を追っている。
オーストラリアでは過去3年間で80万人以上が仮想通貨に関与
オーストラリアでは、仮想通貨は税法上、外貨ではなく資産として扱われており、仮想通貨を売買して儲けた場合、キャピタルゲイン税が課される。
多くの人にとって、この税負担はちょっとしたショックであり、特にルールを知らなかった場合は大きな問題になる可能性がある。それにもかかわらず、オーストラリアにおける仮想通貨の人気は揺らいでおらず、国庫報告書によると、過去3年間で80万人以上のオーストラリア人が仮想通貨取引に関与。実際、2021年だけで63%の増加が報告されており、意外なところでは、オーストラリア人はミームコインの採用でも先頭を走っている。
一方で、規制機関は仮想通貨セクターに対する監視を強化しており、オーストラリア税務局は仮想通貨投資家や取引所から個人情報や取引の詳細を求めている。ASIC(Australian Securities & Investments Commission:オーストラリア証券投資委員会)は無登録証券を提供している疑いがある仮想通貨事業体を標的としている。