テザー(Tether)がシグネチャー銀行を介して主要な銀行情報にアクセスしたとして告発される

テザー社が抜け穴を利用して銀行システムへアクセス

世界最大のステーブルコイン発行企業であるテザー(Tether)社は、米国の銀行システムへのアクセスを可能にする抜け穴を利用し、大胆な行動を起こしたとことが明らかになった。

大手メディアBloombergの報道によると、同社は、3月に規制当局がシグネチャー銀行(Signature Bank)の管理下に置こうと急襲していた際、同銀行の決済プラットフォームを介して顧客の資金移動をしていたとのこと。この情報開示はデジタル資産の世界に波及し、同社の活動に対する調査的な問い合わせが相次ぎ、ステーブルコインの監督に関する議論が再燃している。また、Bloombergインサイダーによると、同社は同銀行のデジタル決済プラットフォームSignetを通じてバハマのパートナーであるキャピタル・ユニオン銀行(Capital Union Bank)に資金を流すよう顧客に指示。これらの行いにより、米国の銀行システムへの秘密ルートを確立したとされている。

テザー社の疑わしいビジネス慣行

この取引は技術的に合法であったかもしれないが、投資家への情報開示が不十分であったため、同社の疑わしいビジネス慣行が疑われている。

日本語訳:
Tetherにはシグネチャー銀行へのエクスポージャーはありません。

同社のパオロ・アルドイーノ(Paolo Ardoino)CTO(最高技術責任者)は、テザーがシグネチャー銀行への直接的または間接的なエクスポージャーを持っていないとツイートで述べている。

一方、米国の議員たちは、シルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の連鎖の中で3番目の機関であることを示す、仮想通貨フレンドリーな銀行の崩壊をまだ調査。というのも、最近の上院銀行委員会の公聴会で、FDIC https://www.fdic.gov/ (米国連邦保険預金公社)のマーティン・グルーエンバーグ(Martin J. Gruenberg)委員長は、シグネチャー銀行が従来の銀行のリスクを十分に管理できていなかったと指摘している。

実際、同銀行が米国経済保護のためにFDICと共同でNYDFS(ニューヨーク金融サービス局)によって閉鎖されたというニュースは、デジタル資産分野を揺るがす事態になっている。同銀行は、FTX取引所の破綻後、仮想通貨へのエクスポージャーを減らしたと報告されていたが、FTXのサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)元CEO(最高経営責任者)による詐欺を支援したとして、同銀行に対する法的措置がとられている。

シグネチャー銀行は他銀行への売却を予定

シグネチャー銀行は次のステップに進むため、380億ドル(約5兆円)の預金と130億ドル(約1.7兆円)の融資をニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(New York Community Bancorp, Inc.)の子会社であるフラッグスター・バンク(Flagstar Bank)に売却予定とのこと。

しかし、シグネチャー銀行の不正行為疑惑に関する調査はまだ続いており、同銀行の運命は天秤にかけられ、業界の多くの人々が次の規制の鉄槌が下るのを待っている。