Nvidiaがクラウドコンピューティング分野で精査を受ける
フランスの競争当局は、反競争行為の疑いがるとして、半導体大手メーカーNvidia(エヌビディア)を調査中である事がわかった。
フランスの競争当局は、Nvidiaが反競争行為の疑いにより、調査中であることが判明。関係者によると、2024年7月1日(月曜日)、同社がフランスで訴追される可能性があると当初は示唆。競争当局のブノワ・クーレ(Benoit Coeure)長官は、調査で良い結果が得られれば訴追すると述べており、具体的な訴追内容はまだ明らかのなっていないものの、同社のクラウドコンピューティングが主な焦点となっている。
2023年の規制当局への提出書類でNvidiaは、EU(欧州連合)、中国、フランスの当局者から同社のグラフィックカードについて質問を受けたことを明らかにした。先月発表されたフランスの競争当局の報告書では、チップメーカーが生成AI(人工知能)市場を悪用している可能性について調査した事が明かされている。
報告書によると、加速コンピューティングに不可欠なGPUと完全に互換性のある唯一の言語であるNvidiaのCUDAプログラミング言語の使用に業界が集中していることについても疑問が投げかけられているという。さらに、フランス競争当局は、CoreWeaveなどのAI指向のクラウドコンピューティングサービスのNvidiaによる最近の戦略的買収についてもいくつかの問題を提起。このような投資は、急成長中のAI業界における市場支配力と競争の公平性に関する懸念を引き起こしている。
Nvidiaは現在、ほぼ独占状態にあり、データセンターGPU市場での市場シェアは94%にも上るとの推定も。このような支配は、フランス当局が観察しているように、Nvidiaによる権力の乱用に対する懸念の原因とも見なされる可能性があり、今回の調査につながったと考えられている。
世界の規制当局がテクノロジー大手への監視強化
2023年9月、大手メディアのウォールストリートジャーナルは、クラウドコンピューティング市場へのより大規模な調査の一環として、フランスのNvidiaのオフィスが捜索されたことを報じている。
当時、当局はNvidiaの名前を直接挙げずにグラフィックカードメーカーに言及。この調査は、Nvidiaや他の大企業が中小企業との競争を抑制することで市場での優位性を乱用していたかどうかを評価するためであったとみられている。進行中の調査の結果は依然として不透明となっている。しかし、調査の結果、告訴や罰金が科せられれば、チップ市場でさらなる法廷闘争に直面するNvidiaにとって、事業後退の可能性があるとの声も聞こえている。また、規制当局によるNvidiaの監視は欧州だけにとどまらず、DOJ(米国司法省)が同社の調査を主導し、連邦取引委員会とビッグテックの規制責任を分担。さらに、英国の規制当局は、ビッグテック企業によるデジタルウォレットの急成長に関する調査を発表しており、Nvidiaに対する監視の目は厳しさを増しているのが現状だ。