ソフトバンクはAIへの取り組みに数十億ドルの投資を検討
世界最大の投資管理コングロマリットの一つであるソフトバンクは、仮想通貨への投資を一時停止した後、AI(人工知能)分野へのいくつかの投資を検討している事が報じられている。
複数の海外メディアの報道によると、ソフトバンク創業者の孫正義CEO(最高経営責任者)はAIに数百億ドルを投じる用意があり、マイクロソフトが支援するOpenAiもそうした潜在的な機会の1つとのこと。同メディアによると、日本の投資管理複合企業であるソフトバンクは、AI投資分野への参入を検討しているという。
同社は2023年第2四半期に33億ドル(約4877.4億円)の純損失を計上したが、投資界でテクノロジーセクターの健全性の指標と考えられているソフトバンク・ビジョン・ファンドで11億ドル(約1625.8億円)の投資利益を計上。ソフトバンクが一部所有するモバイルチップ大手企業アームのIPO(新規株式公開)により、同社は第1四半期に活動全体をほぼ停止した後、より積極的な投資戦略に切り替えることになった。当時、ソフトバンクの後藤芳光CFO(最高財務責任者)は、この複合企業体はAIトレンドに焦点を当て、慎重かつゆっくりと投資活動に戻ってきていると述べ、その時点では厳選した機会にのみ投資していた。
仮想通貨からAIへの転換
同社はAIの機会への関心を公にしてきたが、関係者がフォーブス誌にソフトバンクが2022年の最後の2四半期は傍観者にとどまる可能性が高いと語った昨年以来、仮想通貨スタートアップへの投資を凍結している。
同社は、テクノロジー分野に特化した投資ファンドであるSVF2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2:Vision Fund 2)がWeb3インフラプロバイダーであるアイナフストーン(Infstones)への6,600万ドル(約97.5億円)の資金調達ラウンドを共同主導した2022年6月以降、いかなる仮想通貨プロジェクトにも投資していない。同社は2022年、FTXへの1億ドル(約147.8億円)の投資を償却しなければならない状況に陥っていた。今年、ソフトバンクはゲームに焦点を当てたブロックチェーンプロジェクトオアシス(Oasys)との提携を発表し、2月にWeb3プロジェクトの検証者として機能すると報告しただけであった。
報道によると、ソフトバンクは、AIコンピューティング専用に設計されたIPU(知能処理装置)を開発する英国に本拠を置くチップメーカー、グラフコア(Graphcore)の買収を検討している可能性がある。しかし、グラフコアはファンドから買収提案を受けたことを否定しているのが現状だ。