米国SEC、未登録のNFT証券を提供したとしてストーナーキャッツを訴訟

SECは未登録NFT販売でストーナーキャッツを法的措置へ

SEC(米国証券取引委員会)はこのほど、NFT(非代替性トークン)の世界で著名なSC2(ストーナー・キャッツ 2 LLC)に対して法的措置を取ったことが明らかになった。

CNBC Television「Mila Kunis-backed ‘Stoner Cat’ NFT animated series fined $1 million by SEC: CNBC Crypto World(日本語訳:ミラ・クニスが支援するNFTアニメシリーズ「ストーナーキャット」にSECから100万ドルの罰金:CNBCクリプトワールド)※1:10秒頃より」より動画引用

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SECは、SC2がNFTの形で仮想通貨証券の無登録募集をし、ストーナー・キャッツというタイトルのウェブ・アニメーション・シリーズの資金調達のために投資家から800万ドル(約11.8億円)近くを集めたと主張している。SECの調査により、SC2のマーケティング・キャンペーンは、ストーナー・キャッツNFTを所有するメリットを大きく強調していたことが明らかになっており、NFT所有者がトークンを流通市場で転売できるオプションが強調されていた。

「投資契約=有価証券を構成するもの」の判断指針となる

SEC執行部のグルビル・S・グレヴァル(Gurbir S. Grewal)部長は、ラベルや基礎となるオブジェクトではなく、オファリングの経済的現実が、「投資契約=有価証券を構成するもの」の判断指針となると強調した。

同氏は、SC2のマーケティング戦略が、投資家が流通市場でストーナー・キャッツNFTを売却すれば利益が得られると信じる環境を作り出したと指摘。こうしたマーケティング戦略に加え、SECの命令では、SC2がストーナー・キャッツNFTを設定し、トークンを含む流通市場での取引ごとに2.5%のロイヤルティを支払うよう設定していたことが明らかにされた。なお、このロイヤルティインセンティブとマーケティング努力は、少なくとも10,000のストーナー・キャッツNFTを含む、総額2,000万ドル以上の取引に従事する個人を奨励している。

ストーナー・キャッツには女優やヴィタリックブテリン氏も関与

2021年7月にスタートしたストーナー・キャッツは、女優ミラ・クニス(Mila Kunis)氏のスタジオ、オーチャード・ファーム・プロダクションがアニメ化したウェブシリーズをフィーチャーしたNFTプロジェクトとしてデビューした。

クニス氏は、夫のアシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)氏やイーサリアム(Ethereum)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏とともに、アニメ番組のキャラクターの声を担当。さらに、今回のケースは、デジタル資産を規制し、急成長するNFT市場の投資家を保護するための継続的な取り組みにおける注目すべき進展だ。

SECはロサンゼルスを拠点とするメディア・エンターテインメント企業インパクトセオリー(Impact Theory)に対し、未登録証券を販売したとして同様の告発。そのためSECは、SC2が適切な登録を行わずに仮想通貨証券を一般に提供・販売したことにより、1933年証券法に違反したと結論づけたとのこと。

一方で、SECの調査結果に対し、SC2は申し立てを認めも否定もしなかったが、100万ドル(約1.47億円)の民事罰の支払いに加え、排除措置命令に同意している。同命令はまた、NFTを購入した影響を受けた投資家が支払った資金を返還するための公正基金を設立するものであるとのこと。さらに、SC2は保有するすべてのストーナー・キャッツのNFTを破棄することを約束し、SECの命令に関する通知をウェブサイトやソーシャルメディア・チャンネルで公表する義務を負うとのことだ。