ケニア警察がワールドコインのオフィスを強制捜査

ケニア警察がワールドコインオフィスを強制捜査

ケニアの警察官チームがワールドコイン(Worldcoin)が使用する施設を捜索し、ユーザーデータを保存しているデバイスを押収したと報告されていることが明らかになった。

ケニア警察は、仮想通貨と生体認証IDプロジェクトであるワールドコインを保管する建物を強制捜査し、データ保存に使用されたデバイスを持ち去ったと伝えられている。現地メディアの報道によると、法執行機関は捜査令状を持っているほか、複数の政府機関職員による支援を受けており、今強制捜査は、ケニア政府が国内でのワールドコインの活動停止を発表した数日後に行われた。

OpenAIのCEOであるサム・アルトマン(Sam Altman)氏が共同設立したワールドコインは、独自のユーザー認証方法で知られており、同社は認証に虹彩スキャンを使用し、参加者にワールドコイントークンWLDのエアドロップを報酬として与えている。

強制捜査前には警告も

ワールドコインのケニア事務所への強制捜査は、政府が公共の安全を脅かすという理由で仮想通貨プロジェクトを停止してからわずか1週間後に行われたものだ。

その前に、ケニアのデータ規制当局は、東アフリカの国におけるワールドコインの活動に警鐘を鳴らしていた。しかし、ケニア政府の動きを受けて、ツール・フォー・ヒューマニティ(Tools for Humanity:※以下、TFHと表記)のアレックス・ブラニア(Alex Blania)氏はツイートで、同団体はワールドコインの活動停止を利用して規制当局の懸念に対処すると述べた。なお、この作戦はデータ保護コミッショナー事務局によって組織され、イマキュレート・カサイト(Immaculate Kassait)氏が主導したとされている。

登録プロセス中に意図を適切に説明しなかったことが強制捜査につながる

現地メディアが報じているように、データコミッショナーのカサイット氏は、ワールドコインが登録プロセス中にその意図を適切に説明しなかったため、強制捜査が行われたと断固として主張している。

日本語訳:
ケニアエリウド・オワロ:登録時点で、ワールドコインは登録目的に必要な要件をすべて満たしていました。ケニア人が理解する必要があるのは、登録と運用化には違いがあるということです

一方、これまでワールドコインの活動を擁護してきたケニアエリウド・オワロ氏(Eliud Owalo)デジタル経済大臣は、シチズンTVケニアのインタビューで、TFHが登録ライセンスの要件を遵守していない可能性があると示唆。ワールドコインのオーブで虹彩をスキャンされた35万人以上のケニア人から収集されたデータの行方について問われたオワロ氏は、データコミッショナー局がそのデータが侵害されないことを保証したと述べた。

政治家の手に個人データが渡るプロセスをシェイプシフト創設者が暴露

襲撃のニュースを受けて、仮想通貨取引所プラットフォームのシェイプシフト(Shapeshift)の創設者エリック・ボーヒーズ(Erik Voorhees)氏は、ワールドコインのデータストレージデバイスの押収により、ユーザーの個人データが政治家に譲渡されたことを確認しており、ツイッターを介して次のように述べている。

日本語訳:
まさにそのようにして、すべての個人データ(決して取り消せない)が政治家の手に渡ります。そして次にどの政権が誕生しても。
もちろん、オーブを襲撃する必要さえありません。どの国の政府も、強い文言の書簡ですべてを要求できます。

問題の一部は、ワールドコインが収集した生体認証データをどのように保存し、適切に保護する計画なのかが明確になっていないことであり、ケニアの法律の下では、個人は不必要に要求されたり、不必要に開示されたりしない個人情報を持たない権利を有しているとのこと。