中国はオフラインCBDCの目標達成に向けたスーパーSIMカードの試験的導入へ

中国はオフラインCBDCに向けたスーパーSIMカードの開発へ

CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の競争において、中国はあらゆる手段を尽くして取り組んでいる現在、中国最大の国有銀行の一つである中国の中央銀行にあたるPBoC(中国人民銀行)は、国民がCBDCのオフライン版を利用できるようにする計画に向けて、スーパーSIMカードの試験的導入に乗り出している事が分かった。

現地メディアの報道によると、同銀行はデジタル人民元アプリと近距離無線通信機能を備えた特殊な「スーパーSIMカード」を統合することで、ユーザーが電話から支払いができるようにする計画だ。同銀行は現在、SIMカードに接続したオフライン決済システムの試験を実施中だ。

スーパーSIMカードの鍵をにぎる提携

この支払い方法は、デジタル人民元、つまり中国のCBDCのオフラインバージョンの使用を容易にするために特別に設計されている。

注目点は2023年7月10日(月曜日)付けの発表が通信事業者のチャイナ・テレコム(China Telecom:中国電信)およびチャイナ・テレコム(China Unicom:中国総合通信)と提携して行われたことだ。同パートナーシップとプロジェクト全体はできるだけ早く完了することを目指しており、翌日にはテストを開始するという銀行の意向を表明。同銀行の発表によると、支払いをするためにユーザーは携帯電話を販売時点管理端末に近づけるだけで、携帯電話の電源を入れる必要がなくなる。このシステムの最大のハイライトは、統合によって電話の電源がオフの場合でもトランザクションを処理できるようになることである。

現時点では、これらの SIM カード支払い機能は、中国の一部の選択された地域の特定のスマートフォンでのみ利用可能であるという。最近中国では、オフラインCBDCのアクセシビリティー(※Accessibility、近づきやすさや利用のしやすさ、便利のよさ)を最大限に高め、農村部や高齢者間での包括性を高め、デジタル格差を埋める方法を拡大している。

次のステップでは人民元と政府発行の社会保障カード統合も

中国では、上記システムへの関心を受けて、国有銀行がデジタル人民元と政府発行の社会保障カードを統合する取り組みを主導する計画も明らかになっている。

同様に、CBDC導入を強化するため、山東省の省都である済南市では、すべてのバス路線がCBDC形式での支払いを受け入れるようになっている。乗客はデジタル人民元アプリをダウンロードし、資金を入金し、バスの支払いセクションで QR コードをスキャンして乗車料金を支払うだけである。

中国中央銀行が2022年にデジタル人民元アプリの試験版を開始した後、同国は一帯一路構想と国境を越えた取引にデジタル人民元を組み入れた。これらの動きは、CBDCの採用を増やし、国内の税金や公共サービスの支払いにデジタル人民元の使用を拡大することを目的としている。デジタル決済とオンラインショッピングのトレンドに合わせて、中国の長沙では、42万件以上の商店がデジタル人民元での支払いを受け入れているほか、中国で人気のモバイル決済およびデジタルウォレットサービスであるWeChat Payには、デジタル決済と大規模なCBDCの導入を促進するためにデジタル人民元が追加されている。

CBDCに対する中国の取り組みは、世界のCBDCレースをリードし、可能な限り多くの人々が参加できるようにするという国家の目標を示唆。インドを含む発展途上国も情報格差の問題に苦しむ中、中国の措置は重要な動きとなる。注目は、インド中央銀行についてもオフラインCBDCを導入する方法にも取り組んでいる点で、中国のオフラインCBDCの結果は、CBDC全体の歩みにおいて大きなステップとなる事が予想されている。

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