MUFGがグローバルステーブルコイン発行交渉へ
MUFG(株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ)は、日本の大手銀行のブロックチェーンプラットフォームを介し、ステーブルコイン発行に向けて関連する企業と協議している事が大手メディアブルームバーグの報道によって分かった。
日本のステーブルコイン法は、主要経済国の中でも先駆けの一つであり、6月1日に施行。事実上、国内の認可銀行、登録送金業者、信託会社のみがトークンを発行できることを意味するものである。MUFGは、ブロックチェーンプラットフォームであるプログマ(Progmat)を使用。世界中で使用するために米ドルを含む外貨に関連付けられたステーブルコインを鋳造することについて複数の関係者と協議していると、MUFGプロダクト担当の斉藤達也副社長が述べており、インタビューの中で次のように語っている。
現在は法律が施行されており、発行者とユーザーは安心してステーブルコインを使用できます。
同副社長は、MUFGがどのステーブルコイン当事者と交渉しているのかについては現段階で明らかにしていない。
安定した価値を保持することを目的としているステーブルコイン
ステーブルコインは、投資家がより不安定なトークンを伴う取引の合間に資金を保管することが多い仮想通貨セクターの重要な部分だ。
これらは、通常1ドルなどの安定した価値を保持することを目的としており、多くの場合、現金や債券などの準備金によって裏付けられている。仮想通貨データアグリゲーターCoinGeckoによると、およそ1,300億ドル(約18.5兆円)が流通している。しかし、ステーブルコインは定期的にペッグを失い、仮想通貨市場を混乱させているのが現状だ。アルゴリズムとトレーダーのインセンティブに依存していたテラ(TerraUSD)は2022年5月に崩壊し、少なくとも400億ドル(約5.7兆円)の損失を出した結果、規制当局はステーブルコイン監視強化へつながった。
MUFGはプログマを利用して第三者向けのセキュリティトークンを発行することを構想しているが、現時点では独自ステーブルコインを発行する計画はない、と同副社長は述べている。さらに、銀行がエンターテインメント企業、その他の非金融企業、国内金融機関グループとステーブルコインプロジェクトについて協議していると語っている。海外の金融グループからも引き合いが来ており、日本はステーブルコイン発行の世界的なハブとなる可能性があるとのこと。
ステーブルコインのトップであるテザー(Tether/USDT)は、ステーブルコインセクターの60% 以上の市場価値を占めている。同副社長は、規制の下でステーブルコインがドルやその他の通貨で建てられ、海外で使用するためのトークンを発行する道を開くものだと述べ、日本にとって素晴らしいチャンスだと同副社長は述べている。
「新しい資本主義」の名のもとに日本経済を活性化する岸田文雄首相の課題には、いわゆるWeb3企業の成長支援が含まれている。日本屋内では、トークンの上場や課税など一部の仮想通貨規制を緩和する方向に動いているものの、全体的にはまだまだ厳しい規制があるとみられている。
記事参照:ブルームバーグ