中国の公務員はデジタル人民元で賃金を受け取る
主要経済国で発行された最も成熟した中国のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)デジタル人民元「e-CNY」は、現時点ではまだパイロット段階にあるものの、中国政府は採用を促進のため、公務員にデジタル人民元で支払うことを推進している事が分かった。
PBoC(中国人民銀行)は、公務員の賃金支払いにデジタル人民元へ移行するプロジェクトを段階的に展開しているとのこと。すでに現地メディアは、2023年5 月以降、常熟市(じょうじゅく市)の公務員の賃金について、デジタル人民元e-CNYにて支払われると報じている。賃金の支払いについては、2020年からCBDCプロジェクトの展開が進行中であり、主に中国政府公共部門が主導している。また、北京市香城区(せいじょう区)では、政府機関の従業員がデジタル人民元で賃金の一部を受け取り始めており、2021年7月までに、蘇州・太倉(たいそう)市は政府機関の職員と従業員の給与支払いも完全にデジタル人民元でカバーされている。
賃金支払いとCBDCの採用
一部の国と比較して、中国人口の大部分が国家に雇用されており、増加するユースケースと相まり、公共部門の賃金の支払いは、CBDC採用加速の機会と言える。
デジタル人民元を獲得して使用する可能性があるため、最初のロールアウトが遅くても、すぐに大規模な使用へと移行する可能性がある。これまでのところ、一般大衆間での CBDC への関心により、通貨を保管して使用するために必要なウォレットを開く人々が急増している。しかし、他の一般的なデジタルウォレットと比較すると、取引量は比較的少ないのが現状だ。ただし、デジタル人民元決済を中国で最も人気のあるウォレットに統合することで、採用が加速する可能性もささやかれている。WeChat Payがデジタル人民元サポートを実装した3月、重要なマイルストーンが1つあり、中国のもう1つの主要なデジタルウォレットプロバイダーであるアリペイ(AliPay)は、2022年12月に初めてe-CNYネットワークに接続している。