FTXが90億ドル以上の資産回復
倒産した仮想通貨取引所FTXは、現金と流動性のある暗号資産で73億ドル(約9,729億円)以上を回収し、2023年1月以降8億ドル(約1,066億円)以上増加したと、同社の弁護士がデラウェア州の米国破産裁判所の審理で発表したことが明らかになった。
デラウェア州連邦破産裁判所におけるFTXの最新公聴会で、破産した仮想通貨取引所の新しい経営陣が行っている回復の試みについて最新情報が提供された。その中で、FTXの弁護士アンディ・ディートデリヒ(Andy Dietderich)氏は、起訴された元創設者サム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏のリーダーシップの下、リソース収集と何が問題だったのかを解明することに費やした数カ月の努力後、同社は将来について考え始めていると述べた。
FTXは、トレーダーが3日間でプラットフォームから60億ドル(約7,997億円)を引き揚げ、ライバル取引所のバイナンス(Binance)が救済取引を断念した後、破産を申請した2022年11月からの仮想通貨価格に基づくと、その回復総額は62億ドル(約8,262億円)と評価されている。
FTXは管理体制の完全な失敗
FTXの新しい最高経営責任者であるジョン・レイ三世(John Ray III)氏は、破綻した仮想通貨取引所における不適切な資金移動と不十分な会計処理について詳述し、管理体制の完全な失敗と表現している。
ディートデリヒ弁護士は、将来に向けてFTXは仮想通貨取引所再開の選択肢について関係者と交渉しており、今四半期中に決定を下す可能性があると明かしている。しかし、FTXが顧客への返済に充てるのではなく、取引所の再開に自己資金を使うべきかどうかは明らかではないとの意見もあり、取引所の再開には、外部からの資金調達や取引所の資産の売却が必要になる可能性が示唆されている。また、FTXは7月までにこの計画を提出するつもりであったが、債権者が同社の資産の取り分をめぐって争っている真っ最中だ。そのため、多くの詳細を詰めなければならないことを認めており、2024年の第2四半期までに連邦破産法第11条の計画が承認されることはないと考えている。
バンクマン-フリード氏と数人の会社関係者は、会社の破綻に関与したとして詐欺罪で起訴されており、同氏が無罪を主張したのとは対照的に、彼の元側近たちは有罪を主張し、検察に協力することに同意している。
一方で、資金の回収とFTXの再始動の可能性に関するニュースは、同取引所のネイティブ・トークンFTTを高騰させ、破産裁判所における弁護士の声明を受け、トークンはなんと95%も上昇し、2.72ドルの高値に達している。しかし、この上昇もつかの間、FTTはすぐに公聴会前の価格まで下落し、トークンは2.38ドルで取引されており、過去24時間で77%以上の高騰となっている。