米国財務長官はSVBが政府の助けに言及も救済策は検討なし
米国のジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は、破綻したSVB(シリコンバレー銀行)が政府からの支援を受けることを認めたがものの、銀行そのものに対する救済については除外し、現段階で救済策が検討されていないことがロイター通信の報道によって分かった。
同財務長官は、破綻したSVBへの政府による救済を求める声に応え、預金者を保護するために他の金融規制当局と協力していると述べたものの、大規模な政府救済の計画はないと述べている。同財務長官は、2008 年の金融危機後に作成された銀行改革により、救済措置の発行が妨げられると主張。その理由に、米国の銀行システムは2008年の金融危機よりも回復力があり、資本も充実している事をあげている。
一方で同財務長官は、彼らの介入の焦点は預金者にあると強調。しかし同財務長官は、預金者が全額返金されるかどうかについて、それ以上の情報を提供することを拒否。代わりに、政府がこれが預金者にとってどれほどの懸念であったかを完全に認識していると述べている。
米国政府によるSVB救済計画
イエレン財務長官のコメントで、同銀行は救済を受けられないように感じるものの、報告によると、米国政府はより広範な金融崩壊を食い止めるため、”重要な行動”を準備していたことが明らかになった。
ロイターの報道によると、政府は崩壊の影響を評価し、買い手を見つけることを含め、銀行のさまざまなオプションを検討。報告書のなかで、FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:米連邦預金保険公社)が、3月10日(金曜日)の時点で、SVBと合併する別の銀行を探していることを示唆。同財務長官は、FDICが、買収オプションを含め、同社の問題を解決するために利用可能な幅広い選択肢を検討していると述べた。
SVBの崩壊は10万人の雇用を危険にさらす
一方、Y Combinator(Yコンビネータ)のCEO(最高経営責任者)であるギャリー・タン(Garry Tan)氏は、SVBの崩壊により10万人以上の雇用が危険にさらされていると主張。
Thousands of startups and small businesses are at risk due to the SVB failure. We ask for depositors to be made whole, and for regulation to prevent this catastrophe.
650 founders who employ more than 22,000 people, have already signed. https://t.co/pfuObWnhts… https://t.co/lF3ILN4s3p
— Garry Tan 陈嘉兴 (@garrytan) March 11, 2023
SVBの失敗により、何千もの新興企業や中小企業が危険にさらされています。私たちは、預金者が完全になること、そしてこの大惨事を防ぐための規制を求める.
22,000人以上を雇用する650人の創業者がすでに署名しています。
言葉を広めてください。
このため同氏は、当NEXTMONEYの特集記事「バンク・オブ・ロンドンがシリコンバレー銀行の英国子会社を買収する大胆な動き」で報じたように、スタートアップのCEOと創業者らに、他の規制当局者とともに、米国財務長官宛ての嘆願書に署名するよう求めている。嘆願書は政府の救済を要求していないが、影響を受けるスタートアップが適切に保護されるよう政府に求めており、次のように語っている。
銀行の株主や経営陣に救済を求めているわけではありません。アメリカ経済のイノベーションを救うようお願いしています。
なお、現時点で40万人以上の労働者を代表する5,000人以上のCEOと創業者が請願書に署名していることがわかっている。2008年に米国政府は、金融危機の影響を受けた複数の企業を救済。複数人のアナリストは、他の銀行が同様の圧力にさらされるのを防ぐため、同様の救済策が今回も必要かもしれないと主張している。