中国のWeChatがデジタル人民元を統合して支払いを強化

WeChatがデジタル人民元e-CNYで支払い強化へ

中国で今大人気アプリとして広く知られるWeChat(ウィーチャット)は、中国のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)であるデジタル人民元(e-CNY)をプラットフォームに統合することで、支払いを強化したことが明らかになった。

WeChatの目的は、アプリユーザーにとって、より迅速でシームレスな決済を実現することであり、WeChatとは別に、中国の別の決済アプリAlipay(支付宝)もe-CNYをサポートしているとのこと。今回の統合有用性の一つは、WeChatを利用する多くの人々が、アプリを通じたe-CNYの支払いができ、Global Timesの報道では、WeChatが将来的に決済シナリオやユースケースを追加することが示唆されている。

Alipayでのe-CNY使用は普及促進が背景にある

現在、同アプリの取引限度額は2,000元(約39,000円)、1日の限度額は5,000元(約98,500円)となっており、今後の動向に注目が集まっている。

この統合に加え、Alipayでデジタル元を使用することは、中国での普及を促進するための動きであるとされ、同国では、デジタル資産を日常的な取引通貨とするために、いくつかの取り組みが行われているとのこと。さらに、e-CNYの試行プログラムは15省におよび、何百万ものウォレットがe-CNYを積極的に使用していることが明らかになっている。

仮想通貨業界の成長と普及が進んだことで、多くの国がCBDCを追求しており、最初にCBDCを立ち上げたのは、バハマのサンドドル(SandDollar)、中国のデジタル人民元(e-CNY)、ナイジェリアのe-ナイラ(eNaira)の3カ国である。他の国々がCBDCの開発で異なる段階にあるのに対し、中国は地域全体でe-CNYの幅広い採用を追求し続けており、ウォレット所有者に一定額をプレゼントしたり、地域コミュニティで抽選を行うなど、多くのプロモーション活動を実施している。

e-CNY は市民に対する国家監視ツールなのか

CBDCへの関心が高まり、投資家の安全が確保されるというメリットがあっても、奴隷制の一形態であり、市民を監視するツールであると懐疑的な意見も少なくない。

例えば、Bitcoin MagazineのTwitterへの投稿では、中国がCBDCに有効期限を設ける可能性を示唆しており、人々がCBDCを使い、貯蓄しないように促していることが紹介されている。実際、デジタル元については、中国政府から大規模な支援を受けていることも明らかであり、その使用を承認するだけでなく、いくつかの地域の多くの指導者が、その採用を拡大するために努力している。

今回のWeChatの統合は、中国におけるデジタル元=e-CNYの普及を促進することにもなると考えられており、同アプリのユーザーは10億人を超えているため、デジタル元のウォレットを所有することへの関心が高まる可能性があると指摘されている。