仮想通貨投資は公募による資金調達には適さないとして上場申請を却下
インドの証券取引所による規制強化は、企業がデジタル資産による財務多様化を目指す中で、規制上のグレーゾーンを浮き彫りにしており、インド・ボンベイ証券取引所が仮想通貨トレジャリー企業の上場を却下した事がわかった。
現地メディアの報道によると、ボンベイ証券取引所は、Jetking Infotrain(ジェットキング・インフォトレイン)社の上場を却下。同社が調達資金の60%を主にビットコイン(Bitcoin/BTC)などの仮想通貨に投資する計画がその理由だ。
インドの規制枠組みでは、企業が利益を仮想通貨の購入に充てることは認められているものの、公募による資金調達を仮想通貨投資に充てることは認められていない。上場申請にて当初、同社は、新たな資金を企業一般向け、教育・技能開発、仮想通貨への投資に充てると述べていた。しかしボンベイ証券取引所は、IT研修会社である同社が、資金調達の約60%を財務戦略として仮想通貨に充当する計画を明らかにしたことを受け、同社の上場申請を却下した。
同社は、株式売却を通じて6億ルピー(約10円)以上を調達する計画で、公募による資金調達を主にビットコインに投資する意向であった。同社は却下を受けて、同社の共同マネージングディレクター兼最高財務責任者であるシッダールト・バルワニ(Siddharth Bharwani)氏は、証券控訴裁判所への控訴を含め、ボンベイ証券取引所の決定に対するあらゆる適切な対応を検討しているという。
インドでは公的資金を仮想通貨を用いて調達することは禁止
この決定は、企業が内部現金利益を用いて仮想通貨を購入することは許可しているものの、そのような投資のために公的資金を調達することは禁止しているという、インドの現在の規制姿勢を反映。
デジタル資産への株式売却による収益は、投機的な懸念と、財務資金調達に関する明確なガイドラインの策定が待たれることから、依然として制限されている。今回の動きは、インドの取引所が仮想通貨財務計画を理由に上場を明確に拒否した初の事例であり、規制の進化に伴い、仮想デジタル資産関連の資金調達に対する監視が強化されることを示唆。しかし、インド企業は投資信託や証券などと同様に仮想通貨への投資が認められているため、同社は現在、バランスシート上にいくらかの仮想通貨を保有していることは注目に値する。同時に、ボンベイ証券取引所が同社の上場拒否決定は、インドにおける仮想通貨トレジャリー企業の台頭を脅かし、後退させる可能性がある。
なお、インドで仮想通貨への投資は違法投資ではないものの、証券や法定通貨ではないため無形資産とみなされている。