カナダの大手ファンド会社がセルシウス投資で巨額損失を計上
カナダのファンドマネージャー大手であるCDPQ(Caisse de dépôt et placement du Québec=ケベック州貯蓄投資公庫)は、セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)への投資により、1億5千万ドル(約204億円)の損失を被ったことがプレスリリースの発表によって明らかになった。
カナダ最大の年金運用会社の1つであるCDPQは、破産した仮想通貨貸し手であるセルシウス・ネットワークへの投資により、1億5千万ドルの損失を計上したことで法的措置を検討しているとのこと。
アレックス・マシンスキー(Alex Mashinsky)氏が設立した仮想通貨貸出会社であるセルシウス・ネットワークは、CDPQから1億5,000万ドルの投資を受けてから1年足らずの2022年7月に、米連邦破産法11条の適用を申請。当時、セルシウスは運用資産250億ドル(約3兆4,072億円)に上っており、プラットフォーム上の顧客数は100万人以上と発表していたが、ケンタッキー州、テキサス州、ニュージャージー州の当局から停止命令書を受け取り、すでに規制当局からの監視の目にさらされていた。
これらが原因となり、セルシウス・ネットワークは業務を停止し、顧客や投資家に対する多くの債務約束を不履行とした後、米国で破産保護を申請。これに伴い、CDPQのシャルル・エモン(Charles Émond)CEO(最高経営責任者)は、セルシウス・ネットワークへの資本注入から1億5千万ドルの損失を計上したとのこと。
新興市場進出によるリスクを過小評価していたCDPQ
CDPQ幹部は、顧客との半期決算発表会で、セルシウス・ネットワークから補償を受けようとする法的オプションを現在評価していることを確認している。
さらに、CDPQは今年上半期に260億ドル(約3兆5,421億円)の損失を計上しており、これは-7.9%のリターンに相当することも明らかになっており、同CEOは次のように述べている。
私たちにとっては、過渡期にある仮想通貨部門において、非常に速い成長を管理しなければならない事業に、あまりにも早く参入しすぎたことは明らかです。その意味で同社のCEOは、当面の間、仮想通貨業界へのさらなる資本投入を控えることを決めました。
メディアの報道によると、同CEOの発言は、仮想通貨に対するスタンスを180度転換させるものであり、ほぼ1年前、CDPQの年金基金が、セルシウス・ネットワークへの投資計画を発表したとき、ブロックチェーン技術への確信の表れであるとコメントしていた。しかし、CDPQのCEOは、セルシウス・ネットワークでも別のプロジェクトでも、損失は常に失望として受け止められると述べており、新興セクターの潜在的なハードルを過小評価していたとの見解を示したとのことだ。