米国連邦準備制度がステーブルコインの構造的脆弱性を強調し、規制当局の介入を促す

米国連邦準備制度がステーブルコインへの規制当局による介入を促す

FRB(Federal Reserve Board=米国連邦準備制度理事会)は、ステーブルコインは仮想通貨の構造的脆弱性を強調しているとして、規制当局の介入を促していることがFRB報告書で明らかになった。

FRBはステーブルコインを金融不安のリスクと分類した一方で、テザー(Tether/USDT)やバイナンスUSD(Binance USD/BUSD)にフィアット担保のステーブルコインが集中していることに関して懸念を表明。FRB報告書は、安全で十分な流動性のある資産に裏打ちされず、適切な規制基準に従わないステーブルコインは、投資家にリスクをもたらすとの見解を述べている。仮想通貨市場が不安定な中でFRBは、ステーブルコインを金融の安定に対する、潜在的なリスクとして指摘しているとのこと。

金融リスク対処の緊急法案作成が急がれる当局者

FRB報告書は、6月22日(水曜日)から予定されているFRBのジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長の上院銀行委員会での証言に先立ち発表されたものだ。

日本語訳:
パウエル議長は、米ドルの国際的役割に関する最初の会議で開会の辞を述べます

同議長は、6月17日(金曜日)に開催された連邦準備理事会主催の研究会議の書面発言で、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)は、ドルの国際的地位の維持に役立つ可能性があると指摘。また、デジタル資産市場における最近の緊張に加え、特定のステーブルコインの価値の崩壊が、仮想通貨の構造的脆弱性を示唆したとの見解を示している。実際、ステーブルコインは安全で十分に流動性のある資産に裏打ちされておらず、適切な規制基準の適用を受けていないステーブルコインは、潜在的に不安定化する影響を受けやすいなど、投資家や潜在的に金融システムに対するリスクを生み出している。

これに対して政府部門は、2021年11月の大統領金融市場ワーキンググループの報告書を指摘し、その中で当局者は金融リスクに対処するために緊急に法律が必要だと述べている。さらに、5月に市場全体を急落させたアルゴリズムステーブルコイン(UST)を直接名指しすることはなかったものの、FRBは業界内の浮動性脆弱性の指標としてこのプロジェクトをほのめかしたとのことだ。特に、USDT、USDコイン(USDCoin/BUSDがステーブルコインの時価総額の圧倒的多数を占めていることを考慮し、FRBは、それらを支える原資産に関する透明性の欠如と、米ドルと1対1で固定されることを意味する資産の脆弱性を悪化させる可能性のある基本リスクについて説明した。

一方で、FRBはレバレッジ取引に関しても、「他の仮想通貨のレバレッジ取引の証拠金要件を満たすためにステーブルコインを使用することが増えると、ステーブルコインの需要の変動が増幅され、償還リスクが高まる可能性があります。」と警告している。