ヴィタリック・ブテリン氏:イーサリアム向け多次元EIP-1559を提案

ブテリンが新イーサリアムの提案

イーサリアム(Ethereum)の生みの親であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、イーサリアムの手数料市場に影響を与える可能性のある2つのオプションについて議論する新提案をした事がわかった。

ブテリン氏は、イーサリアムのガス料金市場に対応する新しいブログを公開。具体的には、新“多次元”EIP-1559アップデートの立ち上げについて話している。

同氏はイーサリアムの新しいアップデートを提案。ブログの中で同氏は、Multidimensional EIP-1559(多次元EIP-1559)と呼んだものを実装するための2つのオプションを提示し、その中で、さまざまなリソースに関するイーサリアムのガス料金市場について議論している。具体的には、イーサリアム仮想マシンの使用法やブロックデータ、証人データなど言及しており、現在、同氏は、これらのリソースについて、「単一の多次元リソース」にバンドルされていると指摘した。

同氏によると、問題は、現在のシステムがイーサリアム仮想マシンのさまざまなリソースの制限の違いを効率的に処理できない点で、具体例として、トランザクションデータとcalldataトランザクションがブロック内のガスのわずか3%しか消費しないことを挙げている。なお、補足として同氏は、一部のブロックには平均ブロックの67倍のデータが含まれる可能性があると付け加えている。

同氏は、問題の解決策として、イーサリアム仮想マシンの2つの制限、つまりバースト容量と持続容量について言及しており、バースト容量を「1ブロックまたは数ブロックのみ」で処理できる容量と述べており、持続容量については長期的に快適にサポートできる容量だという。多次元EIP-1559を使用した「バースト制限」と「持続ターゲット」を導入することを提案しており、特定ブロック内のリソース量はバースト制限を超えず、平均長期消費量については、持続的な目標を掲げている。これらによって、個別のリソースごとに個別ターゲティングEIP-1559ターゲティングスキームを使用できるようになるとのことだ。

多次元EIP-1559

EIP-1559は、近年のイーサリアムの中でも、最も重要なアップデートの1つである。

2021年8月にロンドンのハードフォークの一部としてローンチし、ネットワーク上でガス料金をより予測可能にするために、イーサリアム取引に基本料金を導入。ここで重要になってくるのが、基本料金も燃やされるシステムで、それによってETHの供給がさらに不足する点である。なお、PoS(プルーフオブステーク)への統合後、ETHはEIP-1559によりデフレ資産になる可能性がある。同氏は、多次元EIP-1559を導入するための2つのオプションを提示しており、最初のオプションでは、calldataやストレージ使用などのリソースのガス価格が、1ユニットのリソースの基本料金を基本料金で割って計算される。

もう1つの難しいオプションは、1weiなどの価格でリソースを使用するための基本料金を設定することである。最初のオプションとは対照的に、ブロックガス制限はなく、各リソースのバースト制限が設けられている。優先料金もパーセンテージに基づいているため異なり、ブロックプロデューサーは基本料金にパーセンテージを掛けたものに等しい優先料金の支払いを受け取るという。同氏はこの提案に対してさまざまな反応を示しており、OBEL Networkの(Oisin Kyne)氏は次のように語っている。

これは重要なエンジニアリング事業になると思いますが、合理的な提案だと思います。

Optimismのカール・フロエッシュ(Karl Floesch)氏は、「EVMの下位互換性」について懸念していると語っており、最初のオプションの方が現実的との考えを公にし、ブテリン氏は「リスクの少ない変更」であることに同意したと回答している。

しかし、いずれにしてもこれらの変更がすぐにイーサリアムに実装される可能性は低く、ネットワークはこれまでで最も重要なアップデートとなるプルーフオブステークに統合する準備をしている段階であり、2022年前半に行われる予定だ。