金融庁がステーブルコイン発行権限を限定する方針
金融庁は円に連動したステーブルコインを発行できる権限を、銀行と資金移動業者に限定する方針を発表したことが明らかになった。
金融庁は、顧客の資産を保護するため、ステーブルコインの発行する権利を法的に義務付けられている銀行や電信送金会社のみに制限する法律を2022年に提案することを計画。先行してステーブルコインが普及する米国では、市場規模が10兆円超に膨らみ規制強化の流れが強まるなか、米国に続いて日本もステーブルコインに焦点を当てており、法定通貨に裏打ちされたこれらの資産を発行できる企業の数を制限する姿勢を見せている。
金融庁は米国のテザー(Tether/USDT)の失敗に言及し、ステーブルコイン発行制限をすることで、通貨の発行者が破産することにつられ、投資家の大量清算を防ぎ、経済安定を確保することを目指しているという。仮想通貨およびステーブルコインに関しては、通貨としての機能よりも投機性への注目が高まっていることから、発行主体を制限することで投資家保護を目的としている。
日経新聞の報道によると、金融庁はステーブルコインの発行者を制限するだけでなく、更新された厳格なマネーロンダリング(資金洗浄)防止ガイドラインを公開する予定で、規制による監視は、ステーブルコイン取引に関与するウォレットプロバイダーなどの仲介業者に対して大幅に拡大されるという。ウォレットプロバイダーのような仲介業者は代理店の監督下に置かれ、ユーザーのKYCの確認や、疑わしい取引の報告など犯罪収益の移転を防止する義務を果たす必要がある。実際、2021年初めに金融庁は、分散型ファイナンスのより広範な市場を監督するための新しい部門を設立しており、中央の仲介者を持たないすべてのブロックチェーンベースの金融業務を規制と監視を行っていく。
また、OCC(Office of the Comptroller of the Currency=米国通貨監督庁)、FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation=連邦預金保険公社)、FRS(Federal Reserve System=米国連邦準備制度)などの米国の金融当局は、規制と監督の対象となる預金機関にステーブルコインの発行者に保険をかけるよう求めている。
仮想通貨とステーブルコインの使用は、2020年以降爆発的に高まっており、これらの合計時価総額は、今年の初めのわずか290億ドル(約3兆2,980億円)と比較して、現在1,460億ドル(約16兆6,032億円)を超えている。日本国内での主なステーブルコインの動きとしては、74の企業・銀行・自治体・団体が参加するデジタル通貨フォーラムが、円建ての民間デジタル通貨であるDCJPYの2022年度中の実用化を目指していることが明らかになっている。