IRSが2022年は詐欺スキームからの数十億の仮想通貨の押収を予測

IRSが2021年に35億ドルを押収

IRS(Internal Revenue Service=米国内国歳入庁)は、今2021年の仮想通貨の押収に続き、数十億ドル相当の仮想通貨が2022年、再び押収される可能性があると述べ、警戒感を強めている事が分かった。

IRSの年次報告書によると、2021会計年度に押収した仮想通貨は35億ドル(約3,995億円)相当にのぼり、政府機関が押収したすべての資産の93%を占めている事が分かった。IRSの犯罪部門は2021年に、ワイヤー詐欺、マネーロンダリング、違法な麻薬の配布、脱税などの犯罪活動に関連する数十億ドル相当のビットコインやその他の仮想通貨を押収している。

IRSの犯罪捜査責任者であるジム・リー(Jim lee)氏によると、2022会計年度も仮想通貨の押収の傾向が続くと予想しているとのこと。IRSは年次報告書で、米国の税制と金融システムに影響を与えるサイバー犯罪は指数関数的成長を遂げていると報告しており、仮想通貨とブロックチェーンに関連する犯罪スキームのトレーニングを優先していると述べた。その証拠に犯罪捜査ユニットは、2022年にバージニア州北部にAdvanced Collaboration&DataCenterを立ち上げる予定とのこと。さらに同氏は、サイバー犯罪を特定して追跡するシステムへ投資するため、250人から300人の特別捜査官を雇う必要があり、部隊にさらなる資金が必要になると付け加えた。

押収仮想通貨は競売に

押収された仮想通貨はほぼ全てが競売にかけられることになっており、資金の大部分は財務省没収基金または司法省資産没収基金に送られる。

2020年注目を集めた仮想通貨の押収事例の1つは、2013年に法執行機関によって閉鎖された、薬物のオンラインマーケットプレイス「Silk Road(シルクロード)」による10億ドル(約1,141億円)相当のビットコイン(Bitcoin/BTC)押収が含まれている。Silk Road事件は、2013年の事件でありながら、調査員は以前は気づかなかったビットコイン取引を発見し、追跡を行うことで犯罪スキームから資金を押収することに成功したという。

一方で、IRSが押収した資金の取り扱いとプロトコルに関する監視と透明性の欠如について指摘の声が上がっており、透明性の確保と管理体制が課題とされている。近年では仮想通貨に対する法整備も進みつつあり、仮想通貨取引に対する税務当局の可視性を高めるために、仮想通貨ブローカーが取引を追跡してIRSに報告することを義務付けている。