クレイグ・ライト氏がサトシ・ナカモトではないことを認める
クレイグ・ライト(Craig Wright)氏は、自身のウェブサイトのトップページに、自分はビットコイン(Bitcoin/BTC)の生みの親であるサトシ・ナカモトではないとの法的免責事項を掲載したことが明らかになった。
免責条項は、英国高等法院の最近の判決を引用し、ウェブサイトへのトラフィックをCOPA(Crypto Open Patent Alliance:仮想通貨関連特許団体)が提示した調査結果の要約に誘導。免責事項の大部分は、同氏がビットコイン・ホワイトペーパーの著者ではないこと、ホワイトペーパーに概説されている技術の著作権を保有していないことを認める内容となっている。2023年に同氏は、複数のビットコイン開発者を訴え、彼らが分散型台帳システムの基盤技術の一部に関する著作権を侵害し、ビットコインのデータベースに関する権利を主張していた。
サトシ・ナカモトではないという決定的な判決までの経緯
ライト氏は2016年から、自分がビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトであると主張していた。
2024年、COPAが同氏の主張を否定する50以上の証拠を提出したことで、法廷闘争は最高潮に達し、裁判の間COPAは、フォレンジック専門家とオンチェーンアナリストを呼び、同氏が精巧な偽造と改ざんの兆候を示すメタデータの山を作ったと証言させた。最終的にジェームズ・メラー判事は、COPAの主張が、ビットコインのような高度に技術的なシステムの作成者が、ライト氏の偽造や歪曲(わいきょく)されたメタデータに見られるような不注意なミスを犯すはずがないことを証明したことに同意し、同氏はサトシではないという決定的な判決を下した。
マコーマック氏は名誉毀損訴訟で発生した弁護士費用の取り戻しに成功
最近では、ポッドキャスターのピーター・マコーマック(Peter McCormack)氏が2019年にライト氏から起こされた名誉毀損訴訟に対する弁護費用200万ドル(約3億円)を回収するため、ライト氏の資産が英国高等法院によって凍結されている。
メラー判事は、英国高等法院の判決を受けて、ライト氏を偽証罪でクラウン検察局が調査するよう勧告。さらに同判事は、2024年7月16日(火曜日)に書面で、同氏の行為は偽証罪を検討するために英国のCPS(クラウン検察局)に照会する正当性があると指摘。同判事は、COPA主導の裁判での同氏の虚偽証言により、偽証罪を検討すべきであると説明しており、ライト氏の行動と虚偽の主張の重大性から、起訴、逮捕状、身柄引き渡しが追及される可能性があるとの見解を示した。
一方で、7月5日に提出された法的文書によると、英国の高等法院はライト氏に世界凍結命令を出しており、この命令により、2019年にライト氏から名誉毀損で訴えられたマコーマック氏を助けるため、ライト氏の資産は凍結され、マコーマック氏は名誉毀損訴訟で発生した弁護士費用約150万ポンド(約1億9000万円)の取り戻しに成功している。