東京地方税務局:中国人3人による秘密の不動産投資と仮想通貨の巨額資金移動を明らかに

中国人3人が東京を舞台に仮想通貨で巨額資金移動発覚

東京地方税務局は、中国当局の監視を回避するために作られた会社が、数百万ドルの仮想通貨送金と2億3,700万ドル(約270億円)の不動産投資をしていた事を明らかにした。

朝日新聞デジタル版の報道によると、2016年から2019年3月までの3年間、中国を拠点とする3人が観光写真スタジオ会社を盾に、違法な仮想通貨送金や不動産投資を実施。3人の中国人が、270億円相当の仮想通貨を東京の会社に送って円に換金したとされており、会社の口座に出入りする大量の非公開資金が発見された。3人が経営する観光写真スタジオ会社は、年間売上高がわずか1,000万円であったにもかかわらず、巨額の資金が会社の口座に出入りしていたことから発覚。さらに、中国の法律では、5万ドル(約560万円)以上の海外送金を希望する個人は、中国政府の許可を申請する必要があると定められており、3人は許可なく海外送金をしていた。

不動産投資も発覚

これらの中国人投資家は、日本で不動産投資も行っていたことがわかっている。

中国の取引制限に精通した森真吾弁護士によると、北京が外国の不動産に投資するための送金を承認する可能性は低いと述べている。実際、仮想通貨の繁栄により、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、国内の送金を追跡することが困難になったこともあり、同銀行は2021年、仮想通貨とそれに関連する活動の全面禁止を発表している。

国税庁の見解によると、税務当局は、特定の条件が満たされている限り、仮想通貨取引所から顧客情報を得る権利があり、税務当局が仮想通貨の大量流入を追跡できなかった場合、仮想通貨取引所に情報提供を依頼できる。しかし、一部の仮想通貨取引所では、顧客にKYC(顧客確認)を義務付けていない仮想通貨取引所が存在し、そのような仮想通貨取引所でのトランザクションの追跡は非常に困難であることも明らかにしている。

税務専門会社であるErnst and Young Tax Coの会長を務める国税庁元職員の角田信弘氏は次のように述べている。

今回の事件については、資金の流れを徹底的に解明することでこのような取引に伴う問題を明らかにし、問題に対処するための措置を実施するため、中国の税務当局と協力する必要があります。

仮想通貨はその特性から海外送金が簡単に行えてしまうため、国を超えた問題に対処するためには、今後、より一層各国の税務当局が緊密に連携する必要があるだろう。