サイバー攻撃に対抗するため中ロを念頭に日米欧を含む30カ国が共同声明発表

サイバー攻撃に日米欧など30カ国が共同声明

ホワイハウスは10月14日(木曜日)、サイバー攻撃に対抗するため、EU(欧州連合)や英国、カナダ、オーストラリア、ブラジル、韓国、日本を含む30カ国の地域との協力関係をメインとした共同声明を発表したことが明らかになった。

近年、増加傾向にあるロシアや中国からのサイバー攻撃に対抗するため、各国の規制当局や法執行当局などが仮想資産の悪用を規制、監視、調査していくための連携を行っていく。これに伴い、13~14日にオンライン形式で国際会議が開催されており、近年、急速に増加しているランサムウェア攻撃を含むサイバー攻撃への対策が議論された。共同声明では、ランサムウェア攻撃に対処するためには各国の連携が必要であるとの認識を示しており、法執行当局がランサムウェア攻撃者の調査、起訴で協力し、ランサムウェアのエコシステムを破壊することを目的としている。

違法な金融リスクにも対処

ランサムウェアのビジネスモデルを破壊するためには、仮想通貨を利用することによって行われる、身代金の支払いやマネーロンダリングなど違法な金融リスクに協調して対処していくことなども記載されている。

米国家安全保障会議の報道官は、米国が本格的にランサムウェアの対策に乗り出していることを明かしており、ホワイトハウスは仮想通貨市場の幅広い監視を検討している。

さらに、米民主党のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)議員は、ランサムウェア攻撃に関する情報提供を義務付ける法案を提出するなど、対策を本格化させている。しかし、今回の共同声明では、サイバー犯罪をしかけるロシアと中国に対抗することを軸としているため、両国は共同声明に参加していない。米国はロシアの共同声明への不参加について、バイデン米大統領とプーチン露大統領は2021年に設立した米露専門家グループを通じて、すでに直接コミュニケーションを取っていると回答している。ロシアや北朝鮮などによるサイバー攻撃は過激さを増しており、米最大規模の石油パイプラインを運営するコロニアル・パイプラインがランサムウェア攻撃を受けたことで、大規模な被害が出たことは記憶に新しい。

一方、米マイクロソフトが発表した年次報告書「Microsoft Digital Defense Report」によると、2020年7月から2021年6月までに発生したサイバー攻撃の出所は、ロシアが58%、北朝鮮が23%、イランが11%、中国が8%となっており、調査の結果、ロシアが大多数を占めていることが明らかになっている。