欧州議会議員、Facebookのザッカーバーグを中央銀行にさせられない

Diem 封じ込めにECBが急務な規制へ

ECB(European Central Bank=欧州中央銀行)は、仮想通貨をより規制できるようにするため、すぐにでも実施される可能性が浮上した。その背景にはかつてLibraと呼ばれたFacebook社が計画するDiemに対する懸念があるとみられている。

FacebookのDiemプロジェクトが、他のビッグテック企業が独自の仮想通貨とステーブルコインを確立するための道を開くことで、欧州議会の立法者は、ECBにより多くの規制力を与えようとしている。

ソーシャルメディアの最大手の一つ、Facebookの共同創業者兼会長兼CEO(最高経営責任者)マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏を“中央銀行にさせてはならない”と、MEP(Member of the European Parliament=欧州議会)の欧州人民党議員であるステファン・ベルガー(Stefan Berger)博士は、デジタル資産発行者の規制強化を求める法案の修正案を提案。

9月の提案「暗号資産の市場に関する欧州議会および評議会の規制の提案、および指令(EU)2019/1937の修正」であるMiCA(Regulation on Markets in Crypto Assets=欧州委員会の暗号資産市場に関する規制)では、ECBがEU(欧州連合)全体で仮想通貨サービスプロバイダーと発行者に、“統一されたルール”を確立することを義務付けている。

ECBが提案の修正に奔走

議員たちは現在、欧州議会の報告者であるバーガー博士によって提案された提案の修正について議論しており、ECBが新しい仮想通貨の承認において、より積極的な役割を果たすことが含まれている。

これは、計画通りに進んだ場合、中央銀行によって特定プロジェクトがEU内で動くことを拒否できるとのこと。今後、MiCAが可決されれば、間違いなくEUが最も仮想通貨規制が実施される地域になると予想されている。NEXTMONEYの特集記事「フェイスブックの仮想通貨Libra、「他の決済企業の締め出す可能性」でEU規制当局が調査」で報じたように、Facebook社のステーブルコイン構想は当初、Libraプロジェクトとして発表されている。しかし、「フェイスブックのリブラ、「Diem」にブランド変更」で報じたように、Diemに変更されて以降、プロジェクトはややトーンダウンした様相を見せているが、Libra構想が発表された直後から、特にEUを中心に強い反発の声が聞こえていた。EU議員らは、Diemによって通貨が発売された場合、各国の財政状態に対する脅威と見なしており、EU圏の政治家は、ステーブルコインのルールを確立させ、ECBに新仮想通貨承認手続きに対するより多くの権限を与える法案を起草した。

バーガー博士は、議論されているデジタルユーロは、FacebookのDiemのような強力なステーブルコインに対する“ベストアンサー”になるだろうと語っており、すべての人がCBDC(中央銀行発行のデジタル通貨)を発表する前に、ECBがデジタルユーロの確立を急ぐことを願っていると語っている。

急激な変化を遂げ続けているデジタル世界で使用される“通貨”は、安全な形でのデジタルマネーが急務とされている。しかし、ECBだけでなく、各国の規制機関は、企業が構想しているデジタル通貨プロジェクトより大幅な遅れをとっているだけに、今後国家レベルでのCBDCがどこまで企業デジタル通貨を追い越せるのか、しばらくは目が離せそうにない。

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