ブラジル、国営デジタル銀行のIPOを準備
ブラジルのパウロ・ゲジス経済大臣は、政府系金融機関であるブラジル連邦貯蓄銀行がIPOの準備を進めていることが明らかになった。ゲジス氏は、1年以内に経済協力開発機構(OECD)に加盟することも明らかにしており、すでに加盟準備作業の約3分の2が完了しているとのことだ。
また、ポンペオ米国務長官も19日に米国からの支援もあり、ブラジルのOECD加盟は急速に進んでいるとし、できるだけ早期の実現を目指していると語った。しかしその一方で、ブラジルがOECDに加盟するにはいくつかのハードルもあるとされており、政治家の汚職や買収などが常態化していることなどが挙げられている。
ブラジル連邦貯蓄銀行はパンデミックの際に、政府が約6,400万人のブラジル人を財政支援するために設立されたデジタル銀行であり、国に新しい投資家を引き付けるために取り組んでいる。というのも、パンデミックの間、政府はCOVID-19の経済的影響と戦うために国内総生産(GDP)の約10%もの費用を費やしており、その多くが低所得のブラジル人への緊急支払いであるとのことだ。
多額の財政支援金を使った一方で、デジタル銀行は突如として6400万もの顧客を獲得したことになり、銀行にとって重要な顧客になると予想されている。これについてゲデス氏は、次のように語っている。
私たちは6400万人をデジタル化することに成功しました。 6400万人を抱える銀行の価値はいくらになるでしょうか。低所得の人々ですが、銀行に登録するのは初めての人々なので、彼らはデジタル銀行の忠実な顧客になるでしょう。
ブラジルは過去1年半に及ぶ金融緩和や財政引き締めの影響により、通貨価値の下落を引き起こしており、これらのリスクを投資家がヘッジできるようにするためにも、政府は中央銀行と協力してデジタル通貨のメカニズム構築に取り組むとしている。
ブラジル経済は19日に、今年の経済成長率が約4%のマイナス成長になるとの見通しを立てているが、通貨安を利用した輸出戦略に続き、IPOでの資金調達により経済の巻き返しを目論んでいるようだ。