日本酒などの偽造品撲滅に向け「Sake Blockchain」を開発

日本酒などの偽造品撲滅に向け「Sake Blockchain」を開発

世界4大会計事務所の1つであるアーンスト・アンド・ヤングの日本支社EY Japanが、日本酒と果物を流通経路を追跡し、偽造品の販売を防ぐブロックチェーンシステム「Sake Blockchain」を開発し、アジアで展開する計画を立てていることがNikkei ASIAN REVIEWの報道で明らかになった。新型コロナウイルスの脅威が去り、ビジネス環境が安定次第、アジアやシンガポールなどを中心としたアジアで展開する予定だという。

Sake Blockchainは、原産地と配達記録を含む情報を外国の消費者と共有し、日本製商品の信頼性獲得に繋げる狙い。システムは、日本製品のサブプライムチェーン全体の完全な情報を追跡・記録し、生産地や配送情報に関する情報も含む仕組みとなっている。特に日本酒に関して共有されるデータは、成分や醸造場所に関する情報、温度記録を含む流通経路に沿った品質管理の詳細までが記される。

消費者は、詳しい日本酒の製品情報を日本酒のボトルに記載されたQRコードをスマートフォンで読み取ることで閲覧することができる。さらに、QRコードには日本酒とペアリングすべき食品の情報も示される。対応言語は英語と中国語、韓国語の3つ。

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2020.01.31

Sake Blockchainを開発した背景には、グローバル規模で日本料理、並びに日本酒への関心が高まったことにある。財務省のデータによると、2019年の日本酒の輸出額は、前年度比5.3%増の234億円となった。国内産果物の輸出量も伸びており、過去数年間で3倍となっている。

一方で、日本酒の輸出量が増加するに伴って、偽造の酒製品がアジア全体で流通され始め、多くの偽製品が本物の日本製ブランドと同じか、高い価格で販売されている。ボトルのデザインも精巧に作られ、本物と偽物の判別が難しいという。根深い偽造酒製品の撲滅を目的としたSake Blockchainの開発意義について、EY Advisory&Consultingのパートナーである梶浦英明氏は「日本酒の生産と起源のストーリーを海外消費者に伝えることができれば、偽製品と区別するのに役立ち」と語っている。