オーストラリア当局、薬物調査で1億円相当の仮想通貨を押収

オーストラリア当局、薬物調査で1億円相当の仮想通貨を押収

オーストラリア当局が、薬物売買の調査で約100万ドル(約1億円)の仮想通貨を押収した。オーストラリア国境軍(ABF)が、今週水曜日に発表した。この事件では、27歳の男性と25歳の女性が逮捕されており、27.5gのMDMAの錠剤と27.5gのMDMAパウダーを英国から子供用のおもちゃの塗装キットに隠して密輸しようとした疑いがかかっている。調査のため警察がパソコンやスマートフォンなどの電子機器を押収したが、ここから1,524,102豪ドルの仮想通貨が発見されたとのこと。

刑事上級軍曹であり警察官のポール・マシューズ氏は、「この仮想通貨の押収金額は、西オーストラリア警察が担当したものでは最高額となる」と述べている。加えて、法務執行機関の150万豪ドル以上の仮想通貨の調査や識別のため、これらのデジタル環境を一時凍結すると述べている。また、逮捕された2人の男女は、売買や供給を目的とした違法薬物の所持で11月に2回裁判所にすでに出廷しているとのこと。マシューズ氏は最後に以下のように述べた。

「最新技術とデジタルフォレンジック(デジタルな法的証拠)を使用して、金融資産を保有するいかなる方法も調査し、違法薬物の取り締まりを徹底的に行っていきます。」

ダークウェブの取り締まりと仮想通貨

米大統領のドナルド・トランプ氏は過去に、ツイッターで「仮想通貨のファンではない」と公言した。その理由として、仮想通貨はマネーロンダリングやテロ組織の資金援助など、犯罪での利用が多いことを挙げている。実際に、仮想通貨を使った犯罪は非常に多い。モネロやジーキャッシュなどの匿名系の仮想通貨は、素性を隠して取引できるため、国の規制に基づき上場廃止を行う取引所が増えてきた。

いっぽうで、ダークウェブ上の取引では、相変わらずビットコインが人気の仮想通貨であることが報告されている。匿名系の仮想通貨を取り締まるだけでは、足りないのかもしれない。加えて、ビットコインはそのユーザー数の多さから、通常の取引と違法な取引を見分けることが困難だと、米シンクタンクのザ・ランドはダークウェブの調査において指摘している。また、ザ・ランドによれば、法務執行機関が未だに従来の古い手法を用いてダークウェブの調査を行っていることも問題点として挙げた。加えて、この問題を解決するには、国内外の規制機関が情報を共有し合うなどの協力体制の構築が必要不可欠であるとも述べている。