なぜステーブルコインが必要なのか?ステーブルコインの役割について「Platinum Q DAO」エンジニアリングが解説
現在、仮想通貨市場にはあまりにも多くのステーブルコインが存在し、その数はおよそ200種類に及ぶ。
しかし、200種類のステーブルコイン全てが必要とは思えない。 Facebookのような大手企業も独自のステーブコインを発行している。
テザーの1日の取引量は時価総額の6倍、つまり一日の取引量240億ドルに対して、時価総額が40億ドルであり、非常に安定した市場の需要があると見受けられる。
そこで、この需要の背後にある理由を明白にしていきたい。
仮想通貨市場の初期の問題点
まず、ステーブルコインの発明以前の選択肢はBitcoinによる取引のみであった。同時に、ビットコイン自体は価格が安定せず、すべての仮想通貨トレーダーは2つの異なる資産(ビットコインとアルトコイン)の動きを同時に予測する必要があり、そのタスクは非常に困難だったと言える。
2013年4月10日にビットコインの価値が6時間で50%も下落したように、市場が突然に暴落する時もある。即座に仮想通貨を法定通貨に変えられるシステムがなければ、仮想通貨ベースのポートフォリオは大きな損失を被るリスクがあると言えるだろう。
結局のところ、依然として世界は時価総額が約80兆ドルである法定通貨の価値を基準としており、それは仮想通貨の時価総額の266倍である。法定通貨は物の購入とサービスへの支払いに使用されるが、トレーダーの多くは法定通貨と比較して Bitcoinのほうが価値があると考えているため、より多くのBitcoinを得ようと努力している。
さらに、仲介者の不在と分散化により、仮想通貨を介した取引は高速且つ非常に安全なものとなっている。価格の不安定な市場は、取引のスキャルパー(差額で利益を得る人々)にとっても魅力的である。それにもかかわらず、グローバルな金融システムは法定通貨を中心に構築されている。利益を得た後でも、トレーダーは仮想通貨を法定通貨と交換する必要があるのだ。
仮想通貨市場には、ブロックチェーンエコシステム内で使用できる、実世界の法定通貨に固定され、安定した資産が必要であった。テザー(USDT)は2014年にそれらの需要にマッチした資産として発行され、すぐに多くの主要な取引所に上場されることになった。2018年後半、ステーブルコインの発行が一般的な傾向になり、現在では銀行口座またはスマートコントラクトの中の資金に裏付けられた多数のステーブコインが発行されている。ステーブルコインは多岐にわたるため、ここでは最も人気のあるものだけに言及することにする。
- Tether (USDT):
誰もがテザーとその裏の活動について知っているだろう。過去2年間監査が行われなかったため、実際に所有している資産の数は誰にもわからない。また、彼らが資金をどこに保管しているかも不明である。2019年3月に、テザー社は発行されたUSDTの総量と同等のドルを保持していないことを認めた。テザー社の動向はステーブルコイン企業の信頼性についての激しい論争に拍車をかけ続けている。また数日前、テザー社は誤って裏付のない50億のトークンを発行し、すぐにそれらをバーンした。テザー唯一の利点は、時価総額の高さと流動性を理由に、ほとんどの取引所でサポートされていることである。 - TrueUSD(TUSD):
TrueUSD(TUSD)はTrustToken社によって発行されている。この会社でドルをトークン化するには、同社の銀行口座にドルを送信してTUSDトークンを受け取るという手続きを必要とする。TrustToken社は毎月すべての資金の監査を受け、その後Cohen&Companyによるレポートを発行するため、法的に裏付けられた最初のステーブルコインである。トークンを米ドルに交換するには、KYC / AML手続きを完了する必要がある。 - Gemini USD (GUSD):
Gemini USD (GUSD)はウィンクルボス兄弟と彼らの運営するジェミニ取引所によって発行されるステーブルコインである。これらのトークンは、発行会社の銀行口座のドルによって裏付けられている。2018年、ブロックチェーンの研究者であるAlex Lebed氏とAlexey Akhunov氏は、GUSDのスマートコントラクトの研究を発表した。内容はステーブルコインのカストディアンであるジェミニ取引所は、GUSD取引を自由に取り消す、一時停止する、またはブロックすることができるというものであった。ただし、現時点まで、Geminiがそのような操作をしたことはない。 - USD Circle(USDC):
ゴールドマン・サックスが支援するCircleがUSD Circle(USDC)を取り扱っている。また、このフィンテック企業はPoloniex取引所を所有している。USDCのステーブルコインは、他のドルベースのトークンと非常によく似ており、Ethereumネットワーク上でも機能する。サークルは毎月、ファンドの監査を実施し、その内容を発表している。準備金は、トップ5の会計サービス会社であるGrant Thornton LLCによって証明されており、現在の循環サプライは3億3960万ドルである。 - Digix(DGX):
Digix(DGX)は金に裏付けられたステーブルコインである。すべてのトークンは1グラムの金を表象し、特別な金庫に保管されている。 100 DGXごとに100グラムの金と交換することができる。すべてのゴールドは、200年の歴史を持ち、監査のトップであるビューローベリタス社によって四半期ごとに監査されている。また、ガバナンストークンDigixDAO(DGD)も存在している。此のトークンを持っていることで投票権を得ることが可能であり、取引手数料の形で収集されたDGXの量に基づいてDGD報酬を受け取ることができる。 - DAI:
DAIはMakerが作成しているステーブルコインである。イーサリアムに裏打ちされて、スマートコントラクト内に保存されている。ETHをスマートコントラクトに送り、新しいDAIを作成し、DAIを送り返すことで、改めてETHと交換することができる。 MKRトークンは、エコシステムのガバナンストークンであり、ETH市場が暴落した場合にDAIの安定した価格を維持するための最後の手段としても機能している。市場の大幅な下落が発生し、ETHが特定のしきい値を下回った場合、スマートコントラクトによって、より多くのMKRが作成され、分散型取引所で販売して損失をカバーする仕様になっている。 - USDQ、KRWQ、JPYQ:
プラチナQ DAOエンジニアリングが開発したQ DAOののステーブルコインである。ビットコインを担保にしており、スマートコントラクトに保存されている。Makerと同様、エコシステムにはQ DAOという主要なガバナンストークンが存在している。
これらのすべてのステーブルコインは、合計の時価総額がまだ50億ドルを超えていないため市場の競争に含まれてはいない。
ステーブルコインはすべて、テザーも含めて、ERC20トークンである。大部分のステーブルコインは似通った機能を備えているが、私見では、サードパーティーに依存しないという性質のため、Q DAOのステーブルコインのような仮想通貨担保によって裏付けられたステーブルコインの方が優れていると思われる。
USDQ、JPYQ、およびKRWQトークンは、スマートコントラクトに担保を入れることによってのみ発行できるため、資産のレポートを公開するために監査を必要としない。
仮想通貨担保型ステーブルコインが最も信頼できる理由
ステーブルコインは非常に安全な資産と見なすことができるが、それらの一部には依然として1つの欠点が存在する。担保を保持している会社の資金が差し押さえられた場合はどうなるだろうか?
その時、ステーブルコインにはどれくらいの価値が残るだろうか?おそらく裏付けとなる資産を失ったステーブルコインは役に立たなくなるだろう。
そのため、仮想通貨を担保にした分散型ステーブルコインは、中央集権型のステーブルコインよりも信頼性が高いと考えることができる。
現在、2つのポピュラーなステーブルコインエコシステムがある。MakerDAOとQ DAOの2つである。 Q DAOの例で、担保に裏付けられた分散型ステーブルコインがどのように機能するか見ていくとしよう。
USDQとKRWQの大きな利点は、発行と超過担保のシステムにある。Q DAOエコシステムは、担保がエコシステムにロックされた後にのみ、ステーブルコインを作成する。これは、テザー(USDT)や、銀行口座に保管された法定通貨に依存するその他のステーブルコインとは異なる。
どのようにステーブルコインを利用すれば利益を得ることができるだろうか?
ステーブルコインは、調整市場または弱気相場の間、ポートフォリオの価値を維持するための最良のソリューションである。また、ポートフォリオにステーブルコインを常に保持することを個人的に推奨している。そうしないと、大きな取引の機会を逃す可能性があるからだ。
強い下落傾向の価格変動をどのようにリスクヘッジすることができるだろうか?優れた戦略は、BTCがレジスタンスレベルに達したときに安定した資産に切り替えることである。また、仮想通貨ポートフォリオの40%または50%を売却し、次の傾向がよりはっきりとした時に買い戻すことができる。BTCが調整市場にはいると、市場全体の価格が低下するので、唯一のリスクヘッジの方法はステーブルコインを購入することだ。この点で、ステーブルコインはアルトコインよりも優れている。
ステーブルコインの別の使用法はレバレッジ取引を行うことだが、これは仮想通貨に裏打ちされたステーブルコインでのみ可能である。スキームは単純だ。
たとえば、USDQでは以下のように行うことができる。BTCを保有しているなら、それをQ DAOエコシステムに送信してUSDQを受け取る。そのUSDQでBTCをさらに購入し、再びQ DAOエコシステムに送信して、USDQを取得。獲得できるUSDQは減っていくが、担保にする資金がなくなるまでこの手順を続けることができる。
取引がうまく行けば、利益を得ることができるだろう。それは証拠金取引のようなものだ。同時にそのような取引を行う場合、リスクを忘れずに、レバレッジが過剰にならないように注意していただきたい。
結論
ステーブルコインの重要性はすでに自明であり、将来さらに需要が大きくなることは間違いない。
ステーブルコインは、従来の金融世界と仮想通貨市場の橋渡しであり、これらの2つの世界のギャップは、徐々に縮まっていく可能性がある。
Libraを例に取ると、Facebook社が仮想通貨業界の可能性を真剣に考えていなければ、リブラというプロジェクトを実行に移すことはなかったはずだ。
これは、私たちがまだ市場が発展する最初の段階にあることを示している。 ステーブルコインへの安定した需要があり、市場はまだ成長しており、それらはすべて実用的である。
従って、今すぐポートフォリオにUSDQ、USDC、DAIなどのステーブルコインを加えることは悪い考えではないだろう。
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