韓国ソウル市、ブロックチェーン行政サービスの導入に向けて準備

韓国ソウル市、ブロックチェーン行政サービスの導入に向けて準備

韓国の首都ソウル市が、ブロックチェーン基盤の行政サービスの本格導入に向け、準備を進めている。現地メディアBlockinpressが1日報じた。

ソウル市は7月9日、ブロックチェーン行政サービスの構築に向けたブロックチェーンワークショップを仁川空港内の人材開発院で開催。同市の関連部門やブロックチェーン事業遂行企業などが参加し、官民で協力すべき内容や互いの要求事項などを徹底的に議論を行った。

この場で、同行政サービスの構築の進捗状況と今後の推進計画の内容を説明した市のスマート都市担当官は、「今後も追加のワークショップを開催して官民が協議する場を設けることで、11月に予定通りのサービスを構築することができるだろう」とし、計画を順調に進んでいることを示唆した。

ソウル市は2018年、「ブロックチェーン都市ソウル推進計画」を宣言し、22年までに計14個のブロックチェーン基盤の管理サービスを開発すると発表。18~22年の5年間で1223億ウォン(約113億円)を投資し、ブロックチェーン関連産業の活性化と行政サービスの革新という2つの軸で開発事業を進める。

19年に行われる事業は、「寄付金の管理履歴共有」や「オンライン証明書の偽造・変造防止」、「市民主導スマートヘルスケア」など6つで、このうち「書類のないオンラインの資格検証」と「マイレージ統合管理」、「ソウル市民カードサービスの拡大」は今年11月までに導入する予定としている。

 

◎過去にソウル市で行われたブロックチェーン技術実証実験

ソウル市は今回のブロックチェーン基盤の行政サービスを導入するにあたり、官民連携で実証実験に取り組んできた。

東京大大学院情報学環の趙章恩氏によると、ソウル市は2017年11月、「ブロックチェーン基盤市政革新のための情報化戦略計画」プランを発表し、韓国サムスン電子の子会社のサムスンSDSを事業者に選定。18年1月から韓国で初となる自治体主導のブロックチェーン実証実験事業を始めた。

実証実験は、青年失業手当と中古車取引の2分野を対象に実施。それぞれ失業手当の支給対象者が行政機関に個人情報を照会する手続きの簡素化と、中古車の販売事業者や整備会社などが書類の偽変造をできないようにするのが狙いで、一定の成果が出たとみられる。(小村海)