KalshiとBitGoが提携で暗号資産先物・デリバティブ事業を拡大
米国デリバティブプラットフォームのKalshi(カルシ)は、暗号資産カストディ大手BitGoとの提携により、暗号資産を担保とした新たな融資仕組みの提供を開始した。
この取り組みは、同社の先物仲介業者(FCM)であるKalshi Prime(カルシプライム)および融資部門Kalshi Katalyst(カルシカタリスト)を通じて展開される。このサービスの最大の特徴は、機関投資家や個人投資家が保有する主要なデジタル資産(ビットコイン、イーサリアム、およびGENIUS法に準拠したステーブルコイン)の所有権を手放すことなく、それを担保に無期限先物(パーペチュアル先物)取引の証拠金を調達できる点にある。
実際の担保管理は連邦認可を受けた信託銀行であるBitGo Bank & Trust(ビットゴー・バンク&トラスト)が担う三者間契約を採用しており、同社は今後もネットワークに参加するカストディアンを順次拡充していく方針だ。
大口保有者や海外競合の利用層を取り込むターゲット戦略
Kalshi Primeのジェフ・バンドマン(Jeff Bandman)CEOによると、今回の担保融資サービスは、暗号資産を長期保有したいクリプトネイティブな投資家や大口保有者(クジラ)を主な標的としている。
証拠金確保のために暗号資産を現金化する必要がなくなるため、自社資産を効率的に活用したいラテンアメリカの企業や、現物を維持したまま先物取引へのエクスポージャーを得たい層から強い関心が寄せられている。
また、この施策は海外の未規制プラットフォームや、ブロックチェーン基盤の競合であるPolymarket(ポリマーケット)へ流出していた投資家層を呼び戻すための戦略的な布石でもある。Kalshiは暗号資産を保持したままレバレッジ取引をしたいユーザーの潜在ニーズを満たすことで、市場シェアの拡大を狙っている。
リテール市場への進出と多様な先物ラインアップの拡充
同社は機関投資家向けの融資基盤を整える一方で、個人投資家層へのアプローチも急ピッチで進めている。大手証券アプリのWebull(ウィブル)と提携し、同社の適格顧客向けにKalshiの取引インフラ(KalshiEXおよび清算機関Kalshi Klear)を活用した無期限先物取引の提供を順次開始する。
KalshiはCFTC(米国商品先物取引委員会)の規制下で、6月に全米初となるビットコイン無期限先物を上場させて以来、バイナンスコイン(Binance Coin/BNB)、カルダノ(Cardano/ADA)、アーベ(Aave/AAVE)などの暗号資産銘柄にとどまらず、金・銀といった貴金属や「US500」株価指数などの多様な金融商品へと取扱対象を急速に広げている。さらに、原油や株式関連商品、予測市場向け契約の証拠金取引についても規制当局へ申請を行っており、総合的なデリバティブ市場としての体裁を整えつつある。
規制遵守の強みと州レベルで直面するリーガルリスク
CFTCの厳しい監督下で透明性の高い取引環境を提供するKalshiだが、事業の全面的な拡大には課題も残されている。連邦規制に準拠したサービス展開を進める一方で、米国の各州レベルにおける規制対応が新たなハードルとなっている。
直近では、ユタ州をはじめとする一部の州当局から「違法なスポーツ賭博に関与している」との主張で提訴されるなど、法的トラブルへの対応を余儀なくされている。同社は連邦規制下での確固たる法的地位をアピールしつつ、これらの地方規制における懸念を解消しながら事業基盤の強化を模索している。
























